どうしてこういうことになってしまったのか?
なってしまうのか?
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先日何人かで話していて、こういうことを言われる。
「オカムラさんって、恋人には自分の好きなこと、ガーッと語りそうですよね」
それは違うよ、と否定する。
音楽か、映画か、文学か。
その人が僕と同じ趣味を持っていて、なおかつ興味を深堀りするタイプの人ならば
そういうこと話したりもするかもしれない。
でなきゃ、マニアックなことなんて話さないと思う。
その人がその物事に興味ないならばなおさら。
その人の興味のあることだけ、その人と話して有意義なことだけ、話す。
でなきゃ聞き役になる。
僕自身はあんまり話さないのではないか。
その人の言ってることを聞いてるほうが楽しいかもしれない。
よくわからない。
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僕、この年にもなって好きな人の前にいると何も話せなくなってしまうんですよ。
黙ったりどもったりで一切口をきけなくなる、というのではなくて。
話はできる。なんとか。
でも、つまらないことしか言えなくなるんだよな・・・
必ずしも気の利いたことを言う必要はない。それはわかっている。
でも、でも・・・
(まあ、言えるに超したことないけどね)
友人や身の回りの人に話しているように
自然にあれこれ言えればいいのに、それができない。
気心知れた人たちと昼飯にでも行こうものなら大変ですよ。
僕1人でどうでもいいことベラベラと喋ってる。
笑わせようとする。
笑ってくれるとうれしくて、また何か言う。
それができない。どうしてもできない。
ぎこちなくなってしまう。普通の会話すらできない。
場数を踏んでないからか。
「年齢=彼女いない暦」ってやつ?
この年になっていまだそうだと、普通「ひく」よね。女性は。
もう、諦めるしかないんだろうな。
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そう、この前もそうだった。
せっかく二人だけで会ってたのに、何も言えなくなってしまった。
楽しそうに笑ってくれた瞬間は一度としてなかった。
当たり障りのない会話をずっとしてて、噛み合わないまま。
途中からどうしようもない気持ちになった。
「きれいですね」「あ、ああ、きれいですね」
「寒くなってきましたね」「あ、ああ、寒くなりましたね」
返す言葉が見つからない。
もうだめだと思った。
そして、それっきり。
どうすることもできない。何をどうしたところで間違いのようで。
臆病になって、怖くなって。
消えてしまいたくなる。落ち込む。
会社にいるときは平然として笑ってたり笑わしたりしてても、
心の奥底では沈み込んで途方にくれていた。
未練は残っているわけですよ。
でもそれをどうしていいのかがわからない。
プラスの方向にも、マイナスの方向にももっていけない。
なす術も無く、今はただ日々をやり過ごすだけ。
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意気地なしな僕がこんなことになってしまうのも当たり前のことだ。
ここから先、この人生において積極的に女性にアプローチすることは
もうやめにすることにした。
中途半端なことをしてまた相手に気まずい思いをさせるだけだ。
失敗を恐れていたら行動できないのは確かだが、
それでやってみたところで失敗する以外にない物事ってのもやはりあるわけだ。
それが痛いほどわかった。
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どんな曲だったか忘れたが、ムーンライダースにこんな詩があった。
「物は壊れる、人は死ぬ。三つ数えて、眼をつぶれ」
あの時以来、なぜかずっとこの詩のことばかり思い出している。
死んでしまいたい、とかそういうことではない。
そういう気持ちは取り立ててない。
でもなぜか、いつも思い出している。
今はただ、いろんなことを忘れようとして、惰性で生きていくだけ。
何かが間違っているのはよくわかっている。
でも、どうすることもできない。
三つ数えて、眼をつぶれ。