8/21

8/21(土)


酒を飲みながら映画を見る以外に他何もない毎日もそろそろ終わり。
がっつり見るのはこの週末が最後。いや、ギリギリ次の週までか。
しかし、気持ちを切り替えていく。夏休みもいつか終わる。


起きたら11時。


J・L・ゴダール『アワーミュージック』(2004年)
ダンテの『神曲』に倣った3部構成。地獄篇、煉獄篇、天国篇。
地獄篇はゴダールお得意の古今東西の映画とニュース映像のコラージュ。
9.11後の戦いに満ちたこの世界について検証する。
煉獄篇はゴダール本人が登場してサラエヴォへ。
書物に関する集まりにて映画とテキストの関係について講義を行うことになっている。
ゴダールを中心とした人々の集まりの前に様々な人物が現れ、語っていく。
やがてテーマはパレスチナイスラエルの対立へ。
そう言えばゴダールの『映画史』の DVD BOX を
買っておきながらまだ見ていなかったな、ということを思い出す。


ご飯を炊いて炒飯を作る。
具は豚コマだけ。辛くないラー油を調味料代わりに使う。うまかった。


マノエル・ド・オリヴェイラ『家路』(2001年)
夜顔』の名優ミシェル・ピッコリが出ている。
事故で妻と息子夫婦を亡くした老優の日々。
それまで演劇と映画に生きてきて、生きがいというか生きる術は他にない。
共に暮らす孫がいて、世話をしてくれる家政婦がいて、家族と言えるのはそれだけ。
イヨネスコの舞台に出演、後にジョイスの『ユリシーズ』の映画化に代役で参加。
その合間の、周りの人々とのちょっとした交流。
喜怒哀楽というほどのものでもない、ささやかな時間の連なり。
やはり素晴らしい。
ユリシーズ』を映画化する監督がジョン・マルコビッチ。珍しい起用。


洗濯をして、その間クリーニング屋へ。西友で買い物をする。
帰ってきて洗濯物を干す。
外は暑くて、歩いていると汗だくになる。
夜飲むつもりだったウォッカをグレープフルーツ・サワーの元というのか、
それで割って飲む。結局夜までずっと飲み続け。


甲子園は沖縄の興南高校が優勝。これで史上6校目の春夏連覇となる。


リン・ラムジーというイギリスの若い監督の『モーヴァン』(2002年)
クリスマスの朝、自殺した恋人がキッチンに横たわっていた。
主人公のモーヴァンはその死体を山に埋め、彼の預金を引き出し、
一緒にスーパーでバイトしていた友人と共にスペインへバカンスに出かける。
彼が書いた小説を自分の名前で出版社に送ったところ、
破格の契約金を受け取ることになる。
人生の平衡がどんどん狂っていく。
モーヴァンはその奔流の中にそっと身を投じる。引き返すことはできない。
ゆるやかに、静かに、退廃的で破滅的。
イギリスの若い監督らしく(恐らく)自分の好きな音楽をどんどん放り込む。
The Velvet Underground「I'm Sticking With You」であるとか、
Can「I Want More」「Spoon」であるとか。
クラブで無為な時間を過ごすシーンがいくつかあって、
そこでは大音量で現代的なダンスミュージックが流れる。
サマンサ・モートンが主演。


イエジー・スコリモフスキ『ザ・シャウト/さまよえる幻響』(1978年)
この監督のことは正直、全然知らなかった。最近たまたまどこかで知った。
ロマン・ポランスキー監督の『水の中のナイフ』の脚本を
手掛けていたりするんですね。
砂丘のある小さな村で実験音楽を作曲しつつ、村の教会でオルガンを弾く夫。
その妻。2人だけの暮らしの中にある日、闖入者、謎の男が現れる。
オーストラリアでアボリジニと共に十数年暮らしたという彼は
叫び声で人を殺すことができるという。
彼は2人の家に住み着き、やがて妻と関係をもつようになる。
そして夫はある朝、彼の叫び声を砂丘にて聞くことになったのだが・・・
というミステリアスなスリラー。どことなく幻想的でグロテスク。
意外なことにカンヌでグランプリを取ってるんですね。
奇妙な電子音楽が終始流れるんだけど
担当したのはアンソニー・バンクスとマイケル・ラザフォード。
つまり Genesis の2人。そして、なんとルパート・ハイン。


缶ビールを飲み始める。つまみは、西友で買ったマグロのぶつ切りと
青森から送られてきた中にあったホタテのマヨネーズ和えの缶詰。


『いとこのビニー』(1992年)
アメリカのコメディ映画。日本じゃ誰も知らないようなB級なんだろうけど
この土日で見た中ではこれがダントツで面白かった。
訳アリ弁護士 goes to 法廷ものにハズレなし。
とにかくよかった。ラストの展開に涙した。
これだよ、これ。アメリカ映画の良心はここにあった。
みっともなさが服を着てだらしなく歩いているような弁護士をジョー・ペシ
派手好きだけど肝っ玉の太い、男を立てるいい女を演じた
マリサ・トメイがアカデミー助演女優賞


『クラークス』(1994年)
90年代きっての俊才(的扱いだったように思う)ケヴィン・スミス出世作
サンダンスやカンヌで評価されたオフビート・コメディ。
やる気のない店員2人が
コンビニと隣のレンタルビデオでダラダラとバイトする1日を描く。
何かって言うと店を閉めて、屋根の上でホッケーを始める始末。
仲間を集めて撮ったとのことで、100% 手作り。
1994年ってのが正にぴったりなんだけど、
インディー・レーベルでローファイなグランジの 7inch だしましたって感じ。
どうでもいいエピソードがダラダラと語られてしょーもねーなーと思いつつ、
どこかなんか面白さの残骸を感じて最後まで見てしまう。


先日の「うちのトコでは」のサイトのマンガを見ていたら午前1時となる。寝る。