The Pop Group

先日、サマソニのラインナップを見てたら The Pop Group の名前があって驚く。
再結成してたのか?
調べてみたら去年の夏にはニュースが出てた… 全然知らなかった。
ヴォーカルのマーク・スチュワートと残りのメンバーの確執によって
空中分解しただけに、再結成するとは夢にも思わなかった。


マーク・スチュワートがバックのミュージシャンを集めて
The Pop Group」と名乗るPiL方式ではなくて
ちゃんとオリジナル・メンバーを主体とした再結成だった。よいことだ。
ギターのギャレス・セイガー、ドラムのブルース・スミス。
ベースはサイモン・アンダーウッドではなく、ダン・カトシス。
http://www.cdjournal.com/main/news/the-pop-group/32395


見たいといえばそりゃ見たいが、
今年のサマソニ 8/13(土)・8/14(日) は時期的に無理そうだなあ…


怖いもの知らずの子どもたち。
パンク、ダブ、フリージャズ、民族音楽
自由な匂いのする音は手当たり次第に本能と反射神経でどんどん飲み込んでいく。
剥き出しで荒削り、ロック史上最もささくれ立った反逆の音。


2nd『For Much Longer Do We Tolerate Mass Murder ?』
3rd『We Are Time』
これらは今、90年代半ばに再発されたきり、入手困難なのか。プレミアがついている。
逆に僕の学生時代は 1st『Y』の方がブートレッグじゃない限り入手不能だった。
(実際、僕が買ったのはシングル数枚が一緒になったブートだった)
確か The Pop Group は(少なくとも1stだけは)著作権を放棄しているはずで、
なのに権利関係が複雑で再発がままならない。
ここのところに自由を掲げた異分子と
それを取り巻く世の中の何たるかがよく現れている。


多くの若者たちが聴くべき音なのに。
高校時代、青森市の外れにてレンタルで借りた
『For Much Longer ...』を初めて聴いたときの
とくにあの出だしの、どこにもおさまりようのない異質感。禍々しかった。
(後にバリ島のケチャをコラージュしたものだったことを知る)


その後のメンバーたちのファンカラティーナ路線の
Rip Rig & Panic や Pigbag も入手が難しい。特に前者。
数年前に DiskUnion で買ったのはブートだったのだろうか?
Maximum Joy も今店頭にあるのを買い逃したらまたしばらく入手できなくなりそう。


『Y』と『For Much Longer ...』は21世紀の今聞いても、全然古びてない。
フリーキー。それ以上に刹那的。
ジャンルを作り出すことも、取り込まれることもない。孤高のまま屹立している。
This Heat と並んで、時代を超越した音。
パンクという反転のエネルギーが最も音楽的に昇華されて、瞬間パックされている。


未発表音源を編集した『We Are Time』はピアノやブラスを削ぎ落として
ギター、ベース、ドラム、ヴォーカルの骨格だけとなったとき、
意外と正統的なロックを DNA として持っていることを伝える。
「Colour Blind」のギターソロなど、聴いてると妙に切ない気持ちになる。
そして最後の最後、「We Are Time」のライヴ・テイクが全てを吹き飛ばす。
冒頭の「Trap」はパンク史上最もファンキーで攻撃的な音。
僕はこのアルバムが一番好きだったりする。
魔術はいかにして具現化するのか。そこのところを垣間見るようである。