定義山の三角油揚げ

昨日会社で仙台の話となって、僕は定義山の三角油揚げのことを思い出した。
あれは学生時代だから10何年も前。
夏休みで青森に帰省したとき、
年上の従兄弟が仙台に住んでいる別の従姉妹に車で会いに行くというので
乗せてもらってくっついていった。
生まれて初めての仙台。
1人きりで駅前を歩いてみる。…なぜか『スピード2』を観た。
その後中古CD屋と古着屋を回ったように思う。


次の日、青葉城を訪れる。正直ほとんど記憶に無い。
青森帰る前に行きたいところがあると
従兄弟が運転して連れてってくれたのが定義山
仙台市内からかなり遠かったように思う。
山道をウネウネと進んでいって結構時間がかかった。


山の上のお寺さんに到着する。
立派な門があって、奥のほうまで歩いていく。
その両脇に寂れたお土産屋や豆腐屋が並んでいる。
土日ということもあって参詣客が多く、意外と通りは賑わっている。
さっそく豆腐屋の店頭で買って食べる。
「三角形の油揚げがうまい」と言われて来たんだけど
20代前半の若者にとって「油揚げ…? えー?」みたいなもんで全然期待していない。


それが「嘘だと思って食べてみろ」と言われて揚げたてのを食べてみたら、…!
分厚い! 肉厚の油揚げがほっこりと香ばしく。
醤油と七味をかけるとさらにうまい。
油揚げとは思えない。全く別の食べ物。
揚げたてのコロッケってただそれだけでも絶品だけど、油揚げでもそうなんだな…
お土産として家に買って帰る。
冷めたのを温め直して食べてもうまかった。


時々思い出してはまた食べてみたいと思うんだけど
あれはやっぱ揚げたその場で食べないと意味が無い…
次、いつ、そんな機会があるか。うーむ。
仙台を訪れたのも結局このときだけ。

    • -

青森への帰り道、高速道路に乗ると宮城県を入って岩手県に入ったんだったか、
どこかで花火大会で行なわれていた。
高速道路から近い場所で打ち上げられていて、花火がどんどん大きくなっていく。
そうか、花火って平面じゃなくて球形なんだなということをこのとき初めて知った。
そしてほぼ真下を走って、振り向くと小さく遠ざかっていった。
あれがこれまでの人生で最も思い出深い花火だった。
美しく、大きく。暗闇の中を鮮やかに光の粒が広がっていく。