スチームパンクというもの

昨晩は訳あって、図書館から借りた
スチームパンクの画集・カタログを2冊パラパラと眺めていた。


スチームパンクって、80年代SFにサイバーパンクという
古典はもういいじゃん、ハイテクでもっと斬新なことしようぜって
ムーヴメントが起きたのちに、派生して生まれたもの。
19世紀末ヴィクトリア朝の雰囲気にメカニカルな要素を融合させる。
もしこの時期に機械技術がハンパなく発達していたら?
という歴史改変ものがベースかな。機械へのフェティシズムが裏のテーマ。
全体的にレトロ。しかしそこにはノスタルジアはない。
ありえない、オルタナティブな歴史を扱っているから。


K・W・ジーターらの1970年代末から1980年代の諸作がその嚆矢とされ、
サイバーパンクという命名ジーターによるもの)
ニューロマンサー』で一躍時代の寵児となったウィリアム・ギブソン
サイバーパンクの理論面を推し進めたブルース・スターリングによる
ディファレンス・エンジン』(1990)がその代表作か。


今やSF文学を飛び出して、ガジェットやアート作品の作成、
ゲームへの展開、コスプレなどへと広がっている。
(日本のコスプレはメイドだったりアニメのキャラクターだったり、
 人間がメインなのでまだまだだなと思いました、…って全然詳しくないですが)


僕が借りたのは2冊。


・『スチームパンク造形作品1000』
 http://www.amazon.co.jp/dp/4766122283


・『スチームパンク ネオヴィクトリアン・アートギャラリー』
 http://www.amazon.co.jp/dp/4766122941


前者はほんとカタログで、ひたすらたくさん並んでいて玄人好みなんだろうな。
アート、ファッション、ジュエリーといった分類となっている。
僕のような初心者には後者の方がお勧め。
作家別になっていて、それぞれのテイストが分かる。
昆虫的ウネウネ感だったり、ファンタジー的ホンワカ感だったり。
フェティシズムの対象も革の人もいれば、真空管の人もいる。


いくつか僕のお勧めを挙げておくと、


・Frank Buchwald の「Machine Light」のシリーズ
 http://www.frankbuchwald.de/index_eng.html


・Chris Conte のメカニカルな蜘蛛
 http://www.microbotic.org/index.htm


・Sam Van Olffen の世界観の完成度
 http://vanolffen.blogspot.jp/


見てて思うのは、
ある意味当たり前のことであってスチームパンクに限らないですが、
背景まで造り込む、用意して撮影するよりも
ガジェットだけを単体で撮った方が見る側のイメージが広がるということ。
文脈が自由に動きますからね。


そのイメージのエッセンスはいろんなところに援用されていて、
アニメ映画に顕著かな。
風の谷のナウシカ』『天空の城ラピュタ』なんかもそうなんじゃない?