物語論再び

来月の講習会でのレクチャーのテーマがいよいよ物語となり、
この3連休に準備を進める。


以下、今日書いたメモです。

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さて、キャラクターとは?


ミハイル・バフチンならば
登場人物とは作者にとっても読者にとっても他者≠主体であり、
テクスト空間における3者の対話が小説というジャンルを生む、
などと言うところでしょう。


つまり、作者の中で自己完結せず、手取り足取り動かさず、
作者と対等の独立した人格として
その物語世界のルールにおいて自ら行動させなさい、ということです。

関連して。こんなふうに僕は考えます。


19世紀後半のリアリズム
……物語世界は神の目線をもつ作者の思考の枠組みを超えることはない


20世紀前半のモダニズム
……物語世界と作者とが対等に対峙する


20世紀後半のポストモダニズム
……物語世界が作者を包含し、テクストを介在して他の物語世界とつながる


20世紀の終わりまではテクストの代表は書物でした。
それがインターネットに取って代わられて、物語を運ぶウツワを形作り、
その中を通過する情報量は爆発的に増えました。
それがどう変容していくのかを見極める途上にあるのが21世紀の前半です。


時代によってメディアやメッセージが変わっても
メソッドとしての物語の本質は変わらないのではないか、
出来事の積み重ねを歴史として意味づけていく力や、
それを語りたいという思いは人類からは失われることはないのではないか、
と思います。