社食というもの

先日妻が「サラメシ」を見ていたら、神楽坂にある新潮社の社食が出てきた。
メニューは一種類のみでその日はチキンライス。
だけど追加のおかずが数え切れないだけあって、
エビフライもきちんと下ごしらえしたものが揚げられたのだとか。
人によっては皿に乗せられるだけ乗せる。
入社して一年で 7kg 太った人もいるという。
しかもこの社食、業者に委託してなくて自前なのだと。
いいなあ、行ってみたいなあと思うが社員じゃないと無理か。
あるいは打ち合わせなどで一時的に入館証を発行してもらうか。


僕も社会人になって長いので、いくつかの会社の社食を利用したことがある。
前に書いたことがあるけど、西の横綱トヨタで東の横綱リクルートかな。


リクルートは東京駅のサウスタワービルに移転した頃、
最上階の展望ラウンジに社食があるというので連れて行ってもらった。
ビュッフェスタイルで500円で皿に乗るならいくらでも、という。
若手社員が実際、これでもかこれでもかと詰め込んでいた。
もちろんそれも町の定食屋ではなく、おしゃれなカフェから来ましたというような。
窓際の席だと東京駅が見下ろせたかな。どうだったろう。
「空箱」という名前。
(その後、ビュッフェではなくなったと聞く)


トヨタ芝浦ふ頭の三角ビルにオフィスがあった頃、
田町駅の芝浦側にトヨタの支社があって誰でも入れると聞いて。
当時たまたま近くで働いていた社外の友人と待ち合わせて潜入してみた。
こちらは普通に日替わり定食に小鉢など。メニューが豊富で、しかも安い。
メインの定食にいくつかおかずを追加しても500円しなかったかな。
もちろんおいしかった。毎日飽きずに食べられる味。


やっぱね、社食にその会社の底力が現れますね。
仕事の活力は健全・健康な食生活からですよ。
google楽天は社食が無料と聞いたことがある。


うちの会社も昔は社食があった。
竹芝に本社があった頃まで。
夜はアルコールが出てパブになった。
今では普通にどこでもあるけど、できた当時は珍しかったのかテレビの取材も来ていた。
社食がベースなので勉強会の後の懇親会であるとか、ちょっとした宴会が安く利用できるんですよね。
しかもすぐ裏が東京湾なので2階であっても夜景がきれいだった。


昼も夜もよく利用した。
名物オヤジがそば・うどんコーナーにいて、常連客を覚えている。
愛想がいいというか調子がいい。
この日とはいつものなんとかうどんね、というのを留学生のバイトに指示していた。


西新宿に本社が移転してから社食がなくなった。
自社ビルではなくて賃貸に入ったからですね。
今常駐しているお客さんのところも大きな会社なのに社食がない。
三井不動産住友不動産の巨大なオフィスビルが都心にバンバン増えてるけど
どこも社員食堂をつくってないんじゃないかな。
その分下の階に飲食店のテナントを入れてそこで食べてもらう。
でも社員証をかざすと割引になるとかそういうサービスはない。


僕が入社した頃は東陽町に本社があって、なぜか日本橋の雑居ビルの中に
人事部、社長室、僕らのいた開発部が入っていた。
3階と4階を借りていたのかな。それでも専用の社食があった。
僕ら新人がテーブルに固まって食べていると
社長が「ここいいかな」とふらっと隣に座ってきて雑談をする。
夏になると家から花火が見えるとか、そういう話。
役職者たちと食べているときには仕事の話で、時には厳しい口調になっていた。
社長とご飯を食べるなんて、今となっては考えられない。
いい時代だったな。
社食とはただ速く・安くご飯を食べるだけの場所ではない。
何よりもコミュニケーションの場なんですよね。