映画ゼミの先生が大学を退官することになり、今週末そのお祝いの会で国立へ。
せっかくだから早めに行って国分寺・国立界隈をブラブラするかと考えた。
小平キャンパスが移転して「龍園」「もとき」が閉店した今、
そう思ってなんとはなしに昨日の朝食べログを見てみたら「閉店」とあった。
今年の3月末で店を閉じたのだそうだ。
そうか、今から5年前、妻と友人と3人でこの界隈を散策したときが最後となったか。
あの時も僕はカレー牛めしを食べた。
牛めしにカレーライス用のカレールーをかける。
僕がこの地で学生時代を過ごした90年代前半には壁にかかってなくて、
頼むと作ってくれるという裏メニューだった。
それがいつのまにか表メニューに昇格していた。
わかめうどんと牛めしのサービスセットがあって、そこにカレーを追加する。
うどんにかけるか牛めしにかけるか聞かれたものだった。
松屋が「カレ牛」を始めるずっと前のことだ。
どれだけの時間煮込んだのか、
煮しまった色をした牛肉がホロホロと崩れそうになっている。
タレは甘めでコクがあった。それをサラサラとかき込む。
カレーもまた自家製だろう。
これもまた煮込めるだけ煮込んで野菜も肉も原型をとどめなくなっていた。
カレーを頼むと昭和の懐かしい銀色のカレー皿に入って出てきた。
カウンターだけの10人も入ればいっぱいになるような小さな店。
壁の上の方は単品やセットメニューをマジックペンで書いた
色褪せた短冊型の紙で埋め尽くされている。
僕らはよく徹夜で麻雀を打つ合間に一休みがてら食べに行った。
昼間はよくしゃべるおばちゃんたちが店に立ち、
夜はアジアのどこかの国から来ていた浅黒い若者たちが言葉少なげに働いていた。
チェーン店ではなく、店舗はおそらくここ一軒だけだったろう。
オーナーが高齢化して店を閉めることにしたか。
残念だな。
町中華が少しずつ商店街から消えていくのと同じように、
個人経営の立ち食い蕎麦もまた少しずつ息絶えていく。
なんであの後食べに行かなかったのだろう。
吉祥寺「丼花」のカツ丼、カツカレー。
同じく一橋学園「龍園」のプルプル丼。
青春の味がまたひとつ失われた。