オリンピックはまだまだ遠い

昨晩は高校の同級生たちとの飲み会。
以前訪れたことのある新橋の、青森料理の店の支店ができたと聞いて秋葉原へ。
早めに着いて少し歩く。
2・3mおきにメイドが立っていて、
最近のはやりがそういう方向なのかその半分はゴシックホラーのようになっている。
アニメやゲーム、コスプレやフィギュアの店のひとつひとつが洞窟のようで
それらのディスプレイをバックにアジアやヨーロッパからの観光客が写真を撮っている。
情報量が多過ぎてもはやよくわからない。
リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』的世界までもう一息だな、と思う。
 
この日は東京スタジアムニュージーランドアイルランドの試合があったから、
午後新宿を歩いているとこの寒い中、
上半身にラグビーのユニフォームだけを着た屈強な男たちの集団をよく見かけた。
改札の前で英語の地図を見ながらあーだこーだ言っている。
飲んだ帰り、代々木で大江戸線に乗り換えようとエスカレーターに向かっていたら
そういう男たちの一人に「ヘイ」と話しかけられる。
こちらは結構酔ってたから「あ、俺に話しかけてる?」と気付いた瞬間には
既に通り過ぎてしまっていた。悪いことをした。
でもあの状態だと何を聞かれてもうまく答えられなかっただろう。
 
ああ、こういうことが来年の夏、
オリンピックを開催している間はしょっちゅうあるんだろうな、と思った。
向こうはおもてなしの国、日本に来たのだから道行く誰に聞いても
丁寧に応対してくれるだろうと期待している。
しかし都心を通勤通学ししている大半の日本人は英語を全く話せないのだ。
いいんだろうか。
恥ずかしくても「私は英語を全く話せません」と書いた通行証のようなものを
首からぶら下げて歩いた方がお互い親切かもしれない。
そしてその時都心のJR、私鉄、地下鉄の車両の中は
そういう通行証を身に着けた人ばかりとなるのだ。
 
それ以前に。都心の通勤電車に今以上の外国人観光客が乗ってくるわけで。
今でも外国人観光客たちが大きなスーツケースで幅をとっているところに
仕事を終えて疲れきって心を閉ざした会社員やフリーターたちがギュウギュウに乗ってきて
スマホをずっと眺めて周りのことには一切関わらないようにしているところに乗ってくるわけで。
ホームに着いたとき、下りようとした外国人観光客を手伝おうとした人ってこれまで見たことない。
身をよじってスーツケースを避けるだけ。(もちろん僕もそうだ……)
 
これが果たしてどうなるのか。
政府がオフピーク通勤やリモートワークを提唱するだけだと何の解決にもならない。
普段全くできてないのに急に助け合いの精神が芽生えるわけがない。
最低限、外国人専用車両を用意した方がいいんじゃないだろうか。
結局のところ、オリンピックはこれまで通りテレビで見るもの、
運よく当たれば会場でリアルに見れるものであって、
恐らく多くの国民一人一人の意識としてまだまだ遠い。
たまたまこの国で開催することになったというだけ。
主体的にその運営をサポートするものではないのではないか。
東京都がよろしくやるんでしょ、僕らはその分税金も徴収されてるわけだし、という。
今回の台風のことがあったり、マラソンを札幌でという話があったりで
来年大丈夫かな……、と不安に思う。
そしてその僕もまた不安に思うというだけであって、それ以上何をするわけでもない。