ゲームブックというもの

先週金曜の夜、妻の取材に付いていった。
僕も以前一緒にお仕事させて頂いたことのある方へのインタビューで、
その途中「子供の頃好きだったものは何ですか?」という質問が出た。
「岡村さんも好きだったんじゃないかと思うんですけど。ゲームブックってわかります?」
「あ、大好きでした!」
「……ゲームブックってなんですか?」
 
ロールプレイングゲームを紙の上でやるというか、
 主人公に選択肢が与えられて、Aだったら何ページへ、Bだったら何ページへ、
 と進んでいくことでストーリーが進んでいくんですよ。
 で、体力とか魔力とかパラメーターが数値化されていたのを紙に控えておいて、
 サイコロ振って出てきた値で敵にダメージを与えたり、こっちがやられたり……」
 
いろんな仕掛けやアイデアを目いっぱい詰め込んで
冒険ファンタジー系のストーリーが展開される。
僕が中学生の頃が全盛期か。
現代教養文庫から出ていた『アドベンチャーゲームブック』のシリーズが古典か。
S・ジャクソンとI・リビングストンという両巨頭によって書かれた
火吹山の魔法使い』『死のワナの地下迷宮』『死神の首飾り』など
30冊ぐらい日本でも紹介された。
僕も10冊ぐらい買って、友達の買ったのと交換してプレイした。
最初の方に、手に入れたアイテムや戦闘力の値などを書き込むメモのページがあって、
消しゴムで消しては書いてを繰り返すからボロボロになっている。
 
その筋では有名だけど、日本人の著者によるものだと
ネバーランドのリンゴ』『ニフルハイムのユリ』のシリーズが最高だったと今でも思う。
複雑にして長大なストーリー。
繊細で翳りのある、それでいてユーモラスな味わいもあるファンタジー
異世界というものを存分に描き切っていた。
今は Kindle にもあるみたいですね。
どうやってやるんだろう。書き込めるメモ欄は用意されているのだろうか。
 
海外ものだとダントツで『ローン・ウルフ』のシリーズ。
剣と魔法の世界なんだけど、ケルト神話が根っこにあるんだろうな。
陰鬱で禍々しい、どす黒い雰囲気に満ち満ちていた。この世界観にやられる。
 
引用してみよう。 (5巻『砂上の影』より)
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         56
 小舟にぎっしりと積まれたかごの中をさがすと、手作りのきれいな皮のケースが見つか
った。留め金をはずすとケースの中にはジャカン――バサゴニアの海辺に住む漁師が使う
狩猟用の弓――が入っていた。君は弓を見つけて有頂天にになったが、残念なことにケー
スの中には矢がわずか一本しかない。
 港の広場の向こう側、マオウクの馬車の近くに小さな白壁の店があり、その一階のバル
コニーに緑色のガラスびんが並んでいる。君は弓を力いっぱいひきしぼり、慎重にねらい
を定めた。ねらうのはむずかしく、しかもチャンスは一度しかない。
「乱数表」を指せ。武術(どの武器のものでもよい)を身につけていれば、「乱数表」で
指した数に2を加えよ。
 0から3なら、7へ。
 4から11なら、28へ。
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国内版はホビージャパン社から8巻『旋律のジャングル』まで刊行された。
8巻の終わりにて第9巻『恐怖のるつぼ』が予告されていたが、遂に出ることはなかった。
調べてみると本国イギリスでは30冊以上出てたのだとか。
スマホのゲームアプリにもなったらしい。(ただし英語のみ)
 
アドベンチャーゲームブック』のシリーズは処分してしまったけど、
この8冊だけは捨てずにとっといて東京にまで持ってきた。
『マグナマンド・コンパニオン』というガイドブックも当時買って
一緒に東京に送ったはずが見つからず。……残念。
Amazon で見てみたら1万6,000円という額にまで上がっていた。
 
またやってみようかな。
今度の土日……、いや、はまりそうだ……