マンモス団地、午前6時

この頃が一年で最も日の出が遅いんだったか。
朝5時半前に起きて6時過ぎには駅のホームに着く。
空は暗いまま。夜が続いている。
 
光が丘の駅はマンモス団地に囲まれていて、
駅前の団地のひとつは防犯のためか道路に面した通路の真っ白な照明が
全フロア数mごとに設置され、一晩中付いたまま。
眩しいんだけど静かで、ひと気を一切感じさせなくて、
規則正しく並ぶその光は夜の暗闇に吸い込まれてしまっている。
 
それ以外の団地は階段に非常灯など灯っているが、そこまで明るくはない。
多くの部屋の明かりが消えている。
縦15~20階、横10~20部屋が一棟となるか。
明かりが付いた部屋を数えるとひとつふたつということもあれば、
10あるかないかというところも。
何にしても全体のパーセンテージとしてはかなり低い。
かなり目立つことになる。
 
朝起きて身支度を整えているという人もいれば
昼夜逆転していて今から寝るという人もいるだろうし
たまたま電気を消し忘れた、という人もいるだろう。
それぞれあるけど6時って案外人は寝てるものなんだなということに気づく。
7時までに起きて8時までに家を出れば都心のオフィスには十分通えるか。
 
団地の間にはところどころ2階の高さの橋がかけられて行き来できるようになっている。
団地の立ち並ぶエリアの入り口にローズガーデンに渡る橋があって毎朝、毎晩その上を歩く。
建築中の清掃工場が見える。
日々少しずつその煙突が伸びていく。周辺施設も整いつつある。
数年前に操業を停止して全体を柵で囲われて解体が始まって、一度まっさらな更地に戻る。
しかし柵ははずされず、また新しい清掃工場を建て始める。何年もかけて作っていく。
その間、谷原の清掃工場が稼働しているのだろう。
光が丘の清掃工場が完成して稼働するようになると恐らく、谷原の清掃工場が解体、建て直しとなる。
サイクルをずらしたサインカーブ。そのとてもゆっくりとしたリズム。
とてつもなく大きな生き物の呼吸のような。
午前6時前、その工事現場もまた深く広い眠りについている。
 
通り過ぎて駅前に出て階段を下りていく。
改札をくぐってホームに。
半分は毎朝見かける顔。
だけど互いにそれ以上のことは知らない。
時間が来て地下鉄に乗り、都心へと向かう。