ノーナレ「校長は反逆児」

昨晩、22時からの『逆転人生』を見終わってそのまま『ノーナレ』を見た。
ナレーションの入らない30分のドキュメンタリー番組。
いつもは『町中華で飲ろうぜ』と重なるのでチャンネルを変えていたのが、
町中華』も総集編となったので見ることができた。
 
「校長は反逆児」というタイトル。
世田谷区の公立中学校。
校長先生の方針により校則なしで授業も受けなくていい。スマホの利用も自由。
校長室も好きに出入りしていい。
髪を水色に染めた子、大きなカメラを抱えた子、真面目そうな子、
入れ替わり立ち替わりいろんな生徒がだべっている。
荒れている、という雰囲気はみじんも感じなかった。
むしろ画面に映る生徒誰もがキラキラしていた。
自由すぎる中でじゃあどうする? と自ら考えるようになり、
それぞれ自分のやりたいことを見つけていくのだという。
(校長)先生はその変化を見守るだけ。
 
普通ならその日々を映したドキュメンタリーとなっていただろう。
それが新型コロナウイルスの影響で卒業式を前にして休校へ。
学校に行きたいという中学生たちが自主的に登校して時間を過ごすようになった。
その後卒業式をやりたいという声が上がって急遽開催へ。
全校生徒が体育館に集まる。
卒業証書を受取ったとき、カメラを抱えた子がステージから皆の写真を撮影した。
この子は以前人と話すことができなくて、越境してこの中学校に来たんだったか。
ラストシーンは3月31日。この日校長先生は定年退職を迎える。
歴代の校長先生の顔写真の額が並ぶ中に自分のも加えた。
撮影したのはプロのカメラマンではなく、例のカメラの子だった。
 
型破りすぎて保護者の反発も当初はかなりあったのではないだろうか。
その辺りはほとんど語られなかったと思う。
在職している先生の声がいくつか取り上げられただけ。
もっと知りたいと思った。
30分という尺に収めるためにキラキラしたところだけを切り取ったのかもしれない。
しかしそのキラキラは、子供たちの笑顔は、近年他で見たことのないものだった。
 
その後どうなっただろう。
休校か再開かと全国が揺れ動く中なので何も始まっていないだろうが、
跡を継いだ新しい校長先生もやりにくい。
校則を復活させて「普通」の中学校にするのか。
校則なし、スマホあり、校長室出入り自由を踏襲したからといってうまくいくとは限らない。
というかあの校長先生の信念あってのことだったから、うまくはいかないだろう。
 
卒業生たちは今、どうしているのかというのも気になる。
子供たちはその後普通の高校、普通の大学、普通の会社に入って
普通の人になってしまうのだろうか。