ガスタンクを巡る散歩

予定のない土曜。
先週の国立に引き続き、今週は練馬高野台ブックオフに行ってみるかと。
10時前に家を出る。晴れている。
途中、光が丘のブックオフに立ち寄る。
探していた新田次郎八甲田山死の彷徨』を買う。
 
店を出て、道をそのまま南へまっすぐ歩いていく。
目の前に薄緑色のガスタンクが見えてくる。
デイリーポータルZの林さんが練馬出身ということで
練馬について語る配信イベントを行った時、
練馬の中心にあるのはあのガスタンクだとしていた。
 
環八を渡ってさらにまっすぐ。
道路を拡張するために土地を買い取ったものの
うまく進んでいないのか、ところどころとても広い歩道ができている。
頑として買収に応じない家もあるだろう。
 
西武池袋線の線路が見えてくる。
練馬高野台よりも富士見台に近かった。
小さな精肉店のシャッターが下りている。
一月をもって閉店させていただきます、52年ありがとうございましたと貼り紙。
地域の皆さんと大家さんにはお世話になりましたとあった。
小さいながらも誠実な店だったのだろう。
 
線路に沿って歩く。
高架化されていてがっしりとした橋脚が果てしなくどこまでも連なる。
その下は駐輪場になっていた。
年配の男性が暇そうにパイプ椅子に座っている。
今思うと南側を歩けばよかった。
富士見台の商店街が続いていたんじゃないかな。
北側は取り立てて特徴のない住宅街だった。
 
練馬高野台の駅前に出る。
前にも一度この界隈を歩いたことがあるが、
高架下に一つ、駅前に一つスーパーがあるぐらいで飲食店も少ない。
物静かな駅。
ちょっとした買い物に出るなら数駅乗って
練馬駅石神井公園駅に行くのでもいいのだし、
落ち着いて暮らすには意外といいところなのかもしれない。
 
ブックオフに入る。
地味な町なので期待していなかったが、店構えが大きい。
先週の国立は欲しいものが何もなかったのに
こちらの品ぞろえはとても良かった。
何を買うか迷ってしまった。
長いこと探していた Neville Brothers 『Brother's Keeper』を手ごろな値段で見つける。
A&M 時代のアルバムが2000年に再発されたときのものでこの規格で集めていた。
それが全部並んでいた。
他、ジョニー・サンダースの伝記映画のサントラ、『地雷を踏んだらサヨウナラ』のサントラ。
Incognito の1枚目。どれも国内盤帯付きで状態がいい。
思わずたくさん買ってしまった。
 
練馬高野台と言えば順天堂大学の大きな病院。
その宇良に町中華があると知って行ってみる。
途中、長命寺という立派なお寺さんがあった。
門には仁王像が立っている。
「太陽」という店。カツカレーを食べた。
家族でやっているのだろう。美人な奥さんに娘さん二人も美人。
その若い方が接客に出ていてカウンター奥の常連が
ビールを飲みながらちょっかいを出していた。
続々とお客さんが入ってきて、11時半にはほぼ満席。
 
先ほどの Neville Brothers が気になって、
ここで買い逃したらまた出会うのがいつになるかわからんと
持っていなかったあと3枚、90年代のアルバムも買って帰ろうと再度ブックオフへ。
しかし、また別な欲しいものを見つけてしまう。
P.K.14 という中国のロックバンドの『私たちが彼の名前について話した時 私たちが話した事』
その国内盤。
ジム・オルーク武満徹の曲を演奏した『Corona - Tokyo Realization』
どちらもジャケットを見るとピンとくるものがあって、絶対気に入るだろうと。
Neville Brothers はもう一枚『Family Groove』だけとして
後日また買いに来ようと決める。
スペイン映画『ハモンハモン』と『ルルの時代』のサントラ 2in1 は最後まで迷った。
 
帰りもまた、笹目通りではなく住宅街の中を。
泉屋という業務スーパー的な大きなスーパーがあって道路を挟んで向かいに魚屋。
ここは練馬区の卸売市場地区であって、と大きな説明書きが壁に貼ってあった。
 
塀の上で猫が二匹離れて丸まっている家があった。
 
目白通りを渡ってまたガスタンクが見えてくる。
教習所の送迎バスがちょうど到着したところで、老若男女様々な世代の人が下りてくる。
若者だけじゃないんだな。
路上教習を終えた車も帰ってくる。
 
適当に歩いていたら妻がよく買いに行く「フクパン」の前に出た。
土産にアップルパイやクロワッサンを買って帰る。
自分の分はいいかと思っていたらちょうどコロッケパンが揚げたてですと。
思わず買ってしまった。
 
家に着いたのは13時前。
たった3時間なのに1日遊んだかのような心地よい疲れが。
午後はオリンピックを見て過ごす。
 
行きと帰りとガスタンクを巡る散歩だったな。