『大地の芸術祭』へ(その4)

4日、日曜のこと。
7時までぐっすり寝る。
なんでこんなに眠れるかというと
夜中みみたにガブガブと起こされないからだな、というのもひとつ。
そのみみたは馴染みのペットシッターさんと存分に遊んだようだ。
 
朝風呂に入って、8時に朝食。
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「やたら朝まんま」
 地場の夏野菜をやたらに細かく刻み、混ぜ合わせた
 里の農家に伝わる夏の滋養・健康食。
「みらい納豆」
 十日町産のさといらず豆(砂糖要らず)。
 日本海笹川流れ”の藻塩で豆の味をお楽しみください。
里山のっぺ(冷製)」
 新潟郷土料理の定番。鮭・干し貝柱・鶏肉
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他、しろめしの友六品など。書ききれず。
夜同様、手間暇かかったものが少しずつ。
ご飯は米櫃がなくなるまで、三杯食べた。食べ過ぎた。
 
最後にもう一度風呂に入って荷物をまとめてチェックアウト。
「みらい納豆」と藻塩を買う。
 
この日は別のエリアへ。十日町市の南、中里エリアにある
清津峡渓谷トンネルにある「Tunnel of Light」を見に行く。
大地の芸術祭』の目玉の一つと言っていいだろう。
途中のガソリンスタンドで入れていく。
東京より安く、なのにセルフではなく窓ガラスも吹いてくれる。
店のラジオが聞こえる。
シンガーソングライターのポニーテールという人がゲストで出ていたようだ。
音楽性を変えにくい名前を付けてしまったなと思う。
この名前ではぐっと大人になってジャズ路線へ、というのはできない。
それに50歳、60歳になってもポニーテールなのか。
 
いくつかトンネル、スノーシェードを抜ける。
スノーシェードというのは山を掘ったのではなく、崖に沿った山道に屋根を付けたものか。
青森ではあんまり見かけないと思う。
10時過ぎに清津峡渓谷トンネルに着く。
第2駐車場に停めて歩いている人たちもいたが、
第1駐車場まで行ってみる。空いていたが、パトカーの隣だった。
切り立った崖の底にきれいな川が流れている。
ここはやはり夏に来るべきだな。
『ペリスコープ』という名のエントランス施設に入る。
1階はコーヒーやソフトクリームを売る店で、2階が足湯になっていた。
 
いざトンネルへ。
入坑料1,000円で、パスポートを持っていると半額になる。
検温をしてリストバンドをもらう。
トンネルは落石事故があってしばらく閉鎖されていたのを、
前回2018年の『大地の芸術祭』の際に中国人の建築家を招いて全面的に改修したという。
全体を潜水艦を見立てて、途中に3つある見晴らし所がある。
ひんやりとしたトンネルを歩く。
最初の方はよく見ると床にカモシカや子熊の足跡が点々としている。
少し行くと休憩所代わりにトンネルの成り立ちや
付近の動植物の解説を行うコーナーがいくつかあって、
抜けるとライトアップの色が変わる。
見晴らし所を抜けるとまた変わる。
冷ややかな青、燃えるような赤紫、生命の営みを思わせる緑。
自然の5大要素(木、土、金属、火、水)をモチーフにしているからか。
見晴らし所から崖を見下ろす。
見上げると地層が斜めにびっしりと積み重なっていて、ブラタモリ的に語ることは多そう。
柱状節理というやつか。
見下ろすと流れの早い川が水しぶきを上げている。
 
奥の『パノラマスケープ』に到着する。
浅い足首までのプールが水盤鏡となって清津峡渓谷の景色が反転して映る。
向こう側に行った人たちはシルエットになって影絵のよう。
裸足になって、サンダルになって、
順番に譲り合って左右の壁のどちらかから奥に行って、思い思いのポーズで写真を撮る。
僕も裸足になった。水が冷たくて気持ち良い。
そしてこの水がとても美しく、純度の高い水だというのを足の裏から味わう。
深い清津峡渓谷の風景も吸い込まれそうになる。
自然の中にアートがあるのか、アートの中に自然があるのか。
その調和の極点のように思った。
機会があれば一生に一度見に行くべき場所だと思う。
引き返すトンネルの色遣いがしっかりと余韻を残す。
 
『ペリスコープ』に戻って足湯に入り、ソフトクリームを食べる。
Brutus Casa の『大地の芸術祭』特集を拾い読む。
近くのインフォメーションセンターで壁に広げた地図を見ていたら
昨日の「農舞台」同様、ボランティアの方が話しかけてきて
この近くでおすすめの場所を聞いたら
少し行ったところにあるキャンプ場の手前にある
『カクラ・クルクル・アット・ツマリ』という作品の展示が本日4日まで、
田んぼの間の道の両端に立てられた竹竿の先に風車があって
風が吹くとカラカラ音を立てるという。
インドネシアのアーティストで、バリ島で見られる風景なのだと。
絶対見たい方がいいですよ、というのでそこに行ってみることにした。