土曜の昼、14時過ぎ。
国立駅で羊葉文庫さんと落ち合う。
この日3軒回ることになった。
・駅前の「みちくさ書店」
・旭通りの「三日月書店」
・谷保駅近くの「小鳥書房」と「書肆 海と夕焼」(一つの店舗で同居)
まずは「みちくさ書店」
僕が国立で学生時代を過ごした90年代半ばには駅前のロータリー沿いに既にあって、
もちろん何度も入ったことがあった。
しかし3年ほど前に「国立デパート」の中に移転。
「国立デパート」と口にするとだいたいの人はどこにそんな建物が? と驚く。
4年間国立界隈に住んでいても知らない人が多い。
旭通りの入り口の三叉路を国分寺方面に歩いてすぐ。
3階か4階建ての建物の1階部分。
昔は個人商店の肉屋や魚屋が入っていて、そのうち半分ぐらいが店を閉めていたか。
侘しい商店街の寄り集まりといった風情だった。
それが10年か20年ぶりに足を踏み入れてみたらガラッと変わっていた。
左半分の多くがおばさま向けの洋服屋で、右半分が学習塾やアトリエなど。
その左半分の方にあった。通路を挟んで両側に店を構えていた。
LPの棚がお出迎え。JAGATARA『裸の王様』が7,000円。
KISS『デトロイト・ロック・シティ』とカタカナで書かれたシングルが800円。
レジにおばさんが一人。
このLPコーナーを並べ直している30代ぐらいの男性と、話し込む妙齢のおばさんと。
古本屋にこんなに店員が要るんだろうかと思っていたら二人は向かいの洋服屋へ。
どうもそちらの方で働いているようだった。
もはやどの人がどの店の、という区別もなく混ざり合っているようだった。
昭和の商店街らしさがここに残っていた。
品ぞろえは昔から変わらずの充実ぶり。
思想系、人文系にかなりの棚を割いて、
料理、絵本、デザインの棚もあれば、スピリチュアル、アナキズムの棚もある。
通路に面した壁に括りつけられた棚には近所の人や学生が売りに来るのだろう、
軽めの文庫がたくさん並んでいる。
音楽、映画の棚も結構そろっていて、僕はほとんどそこだけ眺めた。
・原田真人 『ハリウッド・インタビュー俳優編』(400円)
・POPEYE 『僕の好きな映画』(500円、2018年)
最後他の棚を見ていたら画集のところで
『私の「鉄腕アトム」』という本を見つける。
いろんな人の描いた鉄腕アトム。
これは面白いなと一冊追加。400円。
店番のおばさんと話す。
「移転したことは知らなかったです、この辺りもかなり変わりましたね」
おばさんも「今でこそ洋服屋ばかりになったけどこの床は排水溝が残っているんですよ」
次は旭通りを進んで「三日月書店」
あーここのことか。確かに昔から古本屋があった。
しかし羊葉文庫さんに聞いたところでは、年配の店主が引退して
居抜きで今は若い人が入って屋号を変えたという。
とても小さな店。
しかし入れ代わり立ち代わり老若男女の客が入って何冊も売れていた。
古本屋ってこんなに人気のあるもんだっけ?
・池澤夏樹 『ハワイイ紀行【完全版】』(400円)
・『紙絵と詩 智恵子抄』(200円)
・東海林さだお『ニッポン清貧旅行』(100円)
うーん、ブックオフでCDを買い過ぎたので古書は買わないつもりが……
一橋大学のキャンパス東側に沿った小道を行く。
もともと東側は大学院中心だったので土曜ともなると閑散としている。
しかし中を歩いている人がいて、どうも学生ではなさそうだ。
入り口で守衛の方に声をかけると、入っていいという。
妻が聞いたら先月から一般開放が再開したとのこと。
学生生協の建物が開いていたので入ってみた。
掲示板には食堂のおすすめメニュー。
階段の壁に貼られたスキー部や重動物の勧誘チラシ。合唱部の定期演奏会のチラシ。
なんだかとても懐かしい。
壁の汚れ具合が懐かしい。
西側のキャンパスにも入ってみることにする。