真夜中の駐車場

昨晩、午前0時を過ぎて寝ようとしたら
仕事で遅くなってようやく会社を出たという妻から LINE で
駅ビルの駐車場が怖いと。
なんだろう? 不審者が出るとかなんだろうか。
 
めんどくさいなという気持ちも正直ありつつ、
なんか気になるところがあって、布団を出て着替え、駅まで歩いて行った。
 
0時半。駅ビルの階段を下りて、人気がない地下通路を歩く。
改札を出たところに着いたころ、妻の乗った大江戸線も到着した。
 
時間が遅いので駅ビルの中を歩いて駐車場に向かうことができず、
いったん外に出て迂回する。直接駐車場の建物へ。
エレベーターのボタンを押す。
パーク&ライドの利用者は7階以上に停めることを求められている。
7階から上は駐車スペースが若干広くなっていて停めやすいというのもあって、
妻はいつも7階に停めている。
 
エレベーターの中で話を聞く。
この時間、駐車場の各階が真っ暗になるのだと。
そして昨晩も終電で帰ってきて、7階が真っ暗で、
自分の車以外にもう一台離れたところに停まっていて、
その車に向かっているのか、歩く人影が見えてそれがとても怖かったのだと。
自分の車に乗り込むときにもう一度そちらを見たら人影が消えている。
おそらく、その人の車に乗ったんだろうけど……
 
なるほど、そういうことがあったのか。
それは迎えに来てほしいとなるな。
 
7階に着く。
昨晩と違ってフロアに明かりがついている。
明るいにしても真夜中の駐車場は人気がなく、
だだっ広い空になった空間が広がっていて、ぞわぞわする。
明るい中でも他に歩く人があったら、僕だって身構えてしまうだろう。
 
6階から下は明かりが落とされ真っ暗になっていた。
スロープを下りて、その階の駐車エリアを少し走ってまたスロープを下りる。
それを何度も繰り返す。その無機質さも怖い。
昼間と比べて1階分、幻の階が増えていたりしないか……
昨晩は気になる人影を見た後だったので、この暗闇の中を走るのは相当怖かったと妻は言う。
 
駐車場を出て僕もほっとした。
家に着いてからの方が、なぜかぞわぞわした気持ちが強くなった。