サラメシを見ていたら出前に付いていって、食べるところを撮影するという企画だった。
代官山の蕎麦屋。出前先は企業ばかりで、社外秘の資料を広げているからとNGのところが多かった。
出前ってもう何年も頼んでないな、と思う。
昨年か、チラシが入っていて一度マックのデリバリーを試したことがあったけど、それはなんか違う。
結婚してからないな、というか上京してから頼んだことがない。
リンガーハットのテイクアウトはよく食べるけど。
青森で住んでいた家の近くに一軒だけよくある町の食堂があって、
丼物とか定食とか蕎麦、うどん、ラーメンとか。
黒石に住む叔父が訪ねてくると必ず、ラーメンを出前で取ってくれた。
叔父と僕はチャーシュー麺。
ごく普通の、町の食堂のチャーシュー麺。
ボソボソしたチャーシューと煮干しの酸味のある醤油味。
取り立てておいしいわけではない。
でもあの味を時々思い出す。
その食堂も僕が上京した後で閉店して、
あの味がどんなに懐かしくてももはや食べることはできない。
もう一つ思い出した出前。
大学の４人部屋の寮で暮らしていたときのこと。
同部屋の同期が風邪を引いて、学校を休んで寝ていた。
それが何日か続いた時、彼の交際相手がたまたま寮のすぐ裏に住んでいて
その母親が心配して寮の部屋に鍋焼きうどんを差し入れしてくれた。
それが何とも優しいことに同部屋の皆さんの分もと。
同期はまだ寝ていたから後輩と二人で食べて、おいしいなあと。
今思うとどこの店だったんだろう。
覚えておけばよかった。
新聞記者だった父の働いているところをまだ小さい僕が訪ねると、
ちょうど出前を頼むところで僕の分も子供用のを頼んでくれたとか。
出前の思い出って食べたものだけじゃなくて、＋αの何かが常にあって。
特別なもの、という思いがあって、今はそんなに出前に興味がないのかもしれない。
家の近くの蕎麦屋、入ったことないけど、出前してくれるんだろうか。
