先週買ったCD #196:2024/07/30-2024/08/04

2024/07/31: www.amazon.co.jp
John Sebastian 「Cheapo-Cheapo Productions Presents Real Live」 \1350
 
2024/08/03: DiskUnion 新宿中古センター
Tumor Circus 「Tumor Circus」 \1200
Laibach 「Also Sprach Zarathustra」 \880
Cribas 「la hora diminuta」 \2000
 
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John Sebastian 「Cheapo-Cheapo Productions Presents Real Live」
 
ほっこりした気持ちになる音楽を僕が求めることは少ない。
ジョン・セバスチャンのこの1970年のライヴアルバムは
観客とのやりとり、リクエストの声がかかってその曲をやったりやらなかったりという
くだけた距離感の近い雰囲気や、
ギター弾き語りにピアノ、お客さんの手拍子が加わるだけのシンプルな演奏が心地よく、
30年近く前に買って以来、今に至るまでよく聞いている。
何より、ジョン・セバスチャンの優しく、茶目っ気があって懐広い人柄が伝わってくる。
でも盛り上がってくるとシャウトも出てきて、アツい。
 
”Fishin' BLues” といったトラディショナル、
”Blue Suede Shoes” といった前の世代の大ヒット曲、
”Goodnight Irelene”といった広く知られたフォークの曲が半分と
(そのうちのいくつかの曲は客席からのリクエストの声を聞いて演奏)
もちろん、Lovin' Spoonful の曲が半分。
”Nashville Cats” ”Darlin' Be Home Soon” ”Amy's Theme”
といった名曲たち。
 
この頃のジョン・セバスチャンは、Lovin' Spoonful を1968年に脱退すると
1969年のウッドストック・フェスティバルに飛び入り参加して歌うなど
ソロ活動に積極的に取り組んでいた。
この頃出した1作目のソロアルバム「John B. Sebastian」(1970)もいい。
彼のピークはやはりこの頃だったと思う。
(もちろんその後も長く、主にステージで活動している)
 
僕は大学1年生の夏休みに青森市新町の『Be-Bop』で見かけて買った。
ジャケットがいいなあと。
ステージの上、マイクに囲まれて、ヒッピーな時代を受けてカラフルな服を着て
ギターを抱えて笑顔で立っている。
タイトルの文字もカラフルで、小さい子供の書いたような。
ジョン・セバスチャンや Lovin' Spoonful のことはそんなに知らず、
コンピレーションで何曲か聞いたことがある、というぐらいだったと思う。
 
今聞いても、色褪せないライヴアルバムの名盤。
単に演奏がよいだけではなく、観客との化学反応があってこそだと思う。
Depeche Mode 「101」(1989)であるとか、
そのラストの曲 ”Everything Counts” であるとか。
メンバーが歌い終えても観客たちが繰り返し繰り返しサビを歌い続ける。
その大合唱。
そういう<場面>が名盤を作る。
ボブ・ディランのいわゆる「The "Royal Albert Hall" Concert」(1966)しかり。
『ユダ!』の声が生む緊張感。
 
このジョン・セバスチャンの「Real Live」の無観客のスタジオライヴだったら、
どんなに演奏がよくても、実際いいんだけど、ここまでの名盤にはならなかっただろう。
 
元々音は悪くなかったが、紙ジャケで再発された際に
リマスターされたらしく、買い直した。