The Beatles 『Live at the Hollywood Bowl』

昨日は予定がなく、未聴の山からCDを取り出して聴いていた。
その中から出てきたのが The Beatles 『Live at the Hollywood Bowl』
2016年9月発売。すぐ買ったと思うが、手に取るまで1年半近くかかった。


ビートルズ旋風がアメリカ全土を席巻し、大きな会場も軒並みソールドアウト。
そんな一番勢いのある1964年と1965年の演奏から選ばれている。
場所はどちらもロスのハリウッド・ボウル。
「Twist and Shout」「She's A Woman」「Dizzy Miss Lizzy」「Ticket To Ride」など。


国内盤のCD発売は今回が初めてなんですね。
高校の頃、今は亡き青森市新町のBE-BOP にアナログ盤が置いてあった。
もちろん海賊盤。白いジャケットだった覚えがある。
どうしても聴きたくて買う。しかしプレイヤーは持っていない。
後に親戚のおじさんから譲ってもらい、テープにダビングしたんだったか。


同じころ、何枚か海賊盤の CD を買っている。
その中には武道館公演のもあった。
1966年だったからか『Live at the Hollywood Bowl』とはけっこう選曲が違っている。
「Nowhere Man」「I'm Down」「Yesterday」が収録されていた覚えがある。
海賊盤なので音はよくなく、観客の声にかき消されていたような。


どちらも今となっては手元になく、どこに行ったのか。
母が処分してしまったか、金のないときに自分から海賊盤は一切売り払おうとしたか。
レコードはかさばるから売るなら売るで記憶に残っているはずだけど。
どうしたもんか、全くない。


今回の『Live at the Hollywood Bowl』は
ジョージ・マーティンの息子、ジャイルズ・マーティンがリミックスなどの作業を行っている。
ジョージ・マーティンは1977年の最初のLP化の際にプロデューサーを務めている。


聞いてみて、とにかく大歓声。ほぼずっと途切れない。
しかもちゃんと曲の流れに沿って少し引いたり、大盛り上がりしている。
ここまで大きな音で、クリアに観客席の歓声が入っているライヴアルバムって他にないんじゃないか。
ただそれだけでまず、唸ってしまう。


驚いたのは演奏がかちっとまとまっていること。
スタジオ録音なんじゃないかってぐらい。
何と比較していいかわからないけど、ハンブルクでのドサ回りなどを経て
当時最も演奏力が高かったのはビートルズだったというのはよく聞く。
本当にうまいのかってのはこれまで何とも言い難かったけど、今回解説を読んでみてわかった。
当時はステージにモニターがなく、聞こえてくるのはひたすら巨大な歓声。
自分たちの演奏や声は手探りで何も聞こえないに等しい。
そんな中でここまでまとまった演奏ができるとは。
よほど身体に演奏がしみついているんだろうな。
自分のと、残り3人のメンバーのと。感心させられた。


ビートルズもすごいが、歓声と声と演奏のバランスのいい
ジャイルズ・マーティンのミックスがとてもいい仕事をした。
そういえば『Sgt. Peppers Lonely Hearts Club Band』の50周年ミックスも彼だった。
今はホワイト・アルバムに取り組んでいるという噂も。気になりますね。