最後の大阪出張(道頓堀「大たこ」「赤鬼」編)

心斎橋の「神座」でラーメンを食べ終わったあと、せっかく来たので道頓堀を見てみたいと僕は言う。
じゃあ、と行ってみることになる。
だけど3人ともこの辺の地理感覚はなし。
とりあえず右に曲がってアーケードのある通りに入っていく。
21時近くでほとんどの店が閉まる時間帯ではあったが、派手な格好の若者たちで賑わっていた。
歩いてて「活気あるなあ」と思う。肌で感じる。
前を見ても後ろを振り向いてもびっしりと店が並んでいる。


アーケードを出て戎橋を渡る。
この辺から俗に言う道頓堀界隈ということになるのだろうか?
とりあえず目の前にはかの有名な大きくて派手なグリコのネオンが輝いていて、
橋を渡りきったとこには「かに道楽」の例の蟹がその巨大な足を動かしていた。
(後日聞いたところでは阪神優勝の年に「目」がなくなったのだという)
その先には「くいだおれ」の人形が立っていた。
川の向こうのドンキホーテには出来たばかりだという観覧車が回っている。


これぞ大阪。コテコテギンギラギンの街並み。
隙間なくどこもかしこもびっちりと飲食店とゲーセン。
「すげー」と感極まる。くらくらきた。
これまで何度も大阪に出張で来ていたけど、梅田ばかりでいつも物足りなく思っていた。
ようやく大阪を見た気になる。「これだよこれ!」とはしゃぎたくなる。
通りを歩いているとたこ焼きやにかに道楽ともうそういうのばかり。
すし屋と居酒屋とラーメン屋。古い店構えのものからモダンなものまで、
街全体が「いいから食ってけ」と言ってるかのよう。


では、ということでたこ焼きを食べる。
事前に聞いてきた「赤鬼」「大たこ」のうち、「赤鬼」をまず見つける。
カリカリの皮を噛むと熱くて濃ゆーいダシが口いっぱいに広がる。
「はー、これが大阪の、本場のたこ焼きかあ」なんてことを言う。
たこ焼きとして無駄なところのない、シンプルなものなのに個性は人一倍強い。
東京で食べられるたこ焼きがいかに完成度の低いものであるか。
ベチャッとした皮やちまっとしたタコや味のない生地。
「銀だこ」ぐらいだよなあ、うまいと思えるのは。
(ああいう油で揚げるギットリしたたこ焼きは関西風ではなさそうな気がする)


次は「大たこ」こっちは行列が出来ている。
外国人観光客が半分に、地元の若者たち。
(あちこち写真を撮ってたりビデオを回している外国人が多かった。そりゃそうだよな)
「大たこ」の方はさらにシンプルな気がした。
初めて荻窪の「春木屋」でラーメンを食べたときのような
「え、こんなものなの?」というあっさり感。
スープや具が、というのではなく全体としてのあっさり感。
過剰なところは一切なく、何の変哲もなく、ただただ完成したものを提供するという。
そういう意味では初めて食べたときには拍子抜けするんだけど、
これはじわじわと後から来るものなのではないかと思う。
気が付けばスタンダードになってるような。
また道頓堀に来たときは普通にまた「大たこ」と「赤鬼」のたこ焼きを食べ比べてそうだ。

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行きはタクシーだったのを帰りは心斎橋駅まで歩いて、地下鉄(御堂筋線)に乗る。
出口を間違えて梅田の地下街を上ったり下りたりウロウロと歩き回る。

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次の日、7日は本当ならば1度顧客のオフィスに顔を出して
様子を伺うことになっていたのであるが、
特に作業もないということになったのでホテルからそのまま帰ることになる。


帰りの新幹線の中ではもちろん駅弁を食べる。・・・腹はすいてないのに。
「春」弁当。小さい魚(名前思い出せず。キスではない)の天ぷらやたけのこご飯など。
そして「富士山」ビール。
今回はこれを飲むことができてよかった。
午後は出社して普通に仕事することになっていたので、1本だけ。

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いやーとにかく食いまくってた。
もう思い残すことはない。


今度は仕事じゃなくてプライベートで大阪に来るぞ。


次は是非とも「くいだおれ」で食べてみたい。
ちっともうまそうに思えないんだけど、話のタネに。