物語論、続き

ここ数年グルグル回った結果、
小説を書く上で一番大事なものは結局のところメッセージではないか?
と思うようになった。


自分が書きたいことを書くのではなく、伝えるべきことを伝える。


書きたいから書くっていうのは
往々にして自分の趣味・興味を取り繕って終わってしまう。


この時代で共有すべきことを書く。
普遍性があるならば次の時代にもそれは残されていくだろう。
それだけのことだ。


いかにして人は生きるか? という大それたものでなくてもいい。
それを誰かに託したいのならば、個人的な切ない思いでもいい。


それが自分に向かって、自己完結していたらダメなのだ。
誰よりも自分を喜ばせるために書いたものが世の中で読まれるわけがない。


そのとき、私小説とは?
それはとことん自分を向いてどこまでも掘り下げていった果てに
ラインを超えて普遍性を獲得したものなのだ。


歌だってそうだ。絵だってそうだろう。


開かれたものであること。
なんで僕はこんな簡単なことに今まで気付かなかったのか。


僕が書くのではない。
私という存在がそこに媒介して、言葉を選ぶだけなのだ。