青森帰省再び その3

(27日の続き)

港の方へ歩いていって青函連絡船のメモリアルシップ「八甲田丸」に乗る。
こちらも昨夏見学済み。
戦前・戦中・戦後の青森市の市場や港の情景を写真や蝋人形で再現、
青函連絡船の模型や保存された船室、船底のエンジンルームや
1階の車両甲板に並べられた貨物列車などを前回同様見て回る。
昨年時間がなくて見逃した甲板に出ると鯉のぼりが風にはためいている。
煙突が展望台になっていて登ると、青森港がぐるりと見渡せた。
南にベイブリッジやその向こうの「ワ・ラッセ
西に円中型の巨大な石油のタンク。北に陸奥湾
今日は波が穏やかで海は青くのんびりと広がっていた。


「A-FACTORY」でお土産を買って送る。
2階でシードルを試飲する。40mlで100円、80mlで200円など。
300円刻みのカードを買って自販機のようなものに差し込むと
瓶から伸びたシードルが注がれる。
「アオモリシードル ドライ」「ニッカシードル スイート」
「タムラシードル」を飲んだ。
アップルブランデーが気になったけどワンランク高くて断念。


15時半。夕暮れになって日が傾きだす。
アスパムに向かう前に近くの「竹浪比呂央ねぶた研究所」を見学する。
開け放たれたアトリエの外から最初は眺めてて、
入場無料誰でも入れると知って中へ。
ねぶた大賞を何度か受賞し、海外でも製作している竹浪比呂央さんが
弟子の方と一緒にねぶたの骨組みを前にしてあれこれ話していた。
「観光ですか?」と気さくに話しかけてきて
今手がけている作品について原画を持ってきてあれこれ解説してくれる。
今の段階ではパーツごとに作られていて、
29日のねぶた小屋搬入を前に針金の骨組みがあらかた出来上がったところ。
剣のような外側に突き出るパーツをつなげてしまうと
アトリエから出せなくなるのだろう、外して壁に立てかけられていた。
運んでからは組み立て、配線。電球の数は1500個にも及ぶ。
それが切れてしまうことはよほどの限りないとのこと。
(先ほどの「ワ・ラッセ」では Panasonic がスポンサーのねぶたは
 中にLEDが使われたと聞いた。昔は内側にろうそくを立てていた)


その次は紙貼り作業で専任の女性スタッフが十数人がかりで貼っていく。
その後、墨書き、ロウ書き、色づけ。
大八車のような二輪の台車に乗せたときの感激はひとしおと弟子の方が語る。
この方もまた丁寧に解説してくれて、
2月からつくり始めて、真冬だと針金が冷たくて痛いとのこと。
また、ねぶたが終わるとショベルカーのようなものでいっきに壊してしまう。
それもまた切ないものだと。
東京から来たとこちらが話すと
歌舞伎座の新開場一周年を記念して「ねぶた面(おもて)歌舞伎隈取和唐内」
という「面」を販売している。50台限定で30万円!
これが八重洲地下街にも飾ってあるのだとか。見に行くといいですよと。
アトリエでは寄付を募っていたので
あれこれ見せてもらってありがとうと1,000円を箱に入れる。
その分で絵葉書をもらった。
今回見てて何よりも驚いたのは正面を描いた原画が1枚あるきりで
立体図面のような設計図はなし。
なのに見えないはずの裏側の骨組みまでしっかり出来上がってるんですね。
これ、相当場数を踏んだプロフェッショナルでないと無理であって。
ねぶた師は「師」を名乗るだけあるな、と思う。


アスパムへ。13階の展望台に登って
青森市八甲田山陸奥湾を改めて眺める。
日曜の午後、客の入りが少なくて大丈夫なのかと心配する。
県の予算から補填しているのだろうか。
2階に戻って360度パノラマ・スクリーンで青森県を紹介するフィルムも観る。
僕が前回観たのはオープン当初だったから実に20年以上ぶり。
その頃は低い柵にもたれていたのが今は椅子があった。
フィルムは新作になったとのことで内容は大きく変わっていないけど
中に映っている観光客が携帯で写真を撮っていたり、
青森県立美術館奈良美智の犬のオブジェが映ってたりとアップデートされていた。


成田本店に寄って『弘前酔連』の第4号を見つけて買う。
地下のCD屋「PAX」はなくなって4階に移ったみたいですね。
隣のさくら野百貨店の地下で夜食べるものを見繕う。
4割引の刺身の盛り合わせ(マグロやホタテなど)と、
半額のローストビーフにする。
東京から比べるとかなり安い。2つ足して1,000円しなかった。


駅前のコインロッカーにコートを取りに行ってバスに乗って帰る。
真っ赤な太陽が西の山の方に沈んでいく。
バスを降りてまだ日が出ていて暖かった。
夕食後今晩も「湯ったら温泉」へ。
午前0時に眠る。