入院 17日目

5時半に目を覚ますと窓の外がオレンジ色に染まっていた。
こんな色鮮やかな朝焼けを見るのは何年振りか。
体重を測って歯を磨く数分の間に全ては消えて、普通の青みがかった世界に戻った。


世の中は三連休。退院してたらなあ、と思う。
もったいないことをしている。
しかし今抱えてる肝臓の炎症を抑えるには何よりも安静がいいのだという。


午前中10時頃まで『異族』の続きを150ページ。これ以上読むのはつらい。とにかくだるい。
しかもこれまた950ページで1冊。寝ころんで読みにくい。
朝の血圧測定などのあとで広場に下りていく。
開店前のタリーズの席に座って読む。
雨が降り始めている。午前中の間は雨が強くなったり弱くなったり。
夜勤の看護婦の子も「あーあ」と。帰るのめんどくさいなあと。
ようやく晴れたのは午後。


朝、焼き魚が一切れ、白菜のお浸し、ごはん、味噌汁、リンゴ二切れ、ヨーグルト。
昼、鶏肉のポン酢焼き、カブの梅肉和え、揚げ茄子の煮びたし、ごはん。
村上春樹『雑文集』を読み始める。
例のエルサレム賞の授賞式での「壁と卵」のスピーチや
どこかで話題になって覚えていた「おいしい牡蠣フライの食べ方」など。


11時、ようやく都築響一『圏外編集者』『TOKYO STYLE』が届いて下のローソンに受け取りに行く。
まずは前者を読んでみる。昼食後から15時には読み終える。聞き書きなので読みやすい。
既存の編集業・出版社からは面白いものは生まれない。
ネットの時代で世の中の仕組みが大きく変わったが、それだけでも面白いものは生まれない。
まあ当然と言えば当然の話。勉強になるところは案外少なかった。
それこそ『TOKYO STYLE』といった著作そのものの方があれこれ考えさせられる。
それにしてもこの前のスチャダラパーの『三代目J余談ブラザーズ』での対談と被るところがいくつかあった。
手を抜いたのか、それとも実はいろんな記事の引用から対談を組み立てたのか…
まさか、と思う。


昨年妻と出かけた代々木公園の九州フェア。
妻の友人が仕事の関係で出店に関わっている。
今年は退院して一緒に行くはずが行けなくなってしまった。
お土産を買ってきてもらった。
熊本の「サラダちくわ」を三種(ノーマル、青海苔、カレー)と
宮崎の「タルタルガーリックポテト」
このポテトが画期的。酸味の効いたタルタルソースにフライドポテトが反則なまでに合う。
思わずビールが欲しくなる…
笹塚で買ったというケーキも食べた。おなかいっぱい。
熊本から送られてきたみかんも届いた。
妻が水筒に入れてきてくれた温かい緑茶が何よりもありがたかった。


笑点。三平は海老名家ネタだけでいいと思う。
世界遺産エクアドル。キトは黄金の都だったという。
夕食はイカの唐揚げ、竹輪と大根の煮物、もやしのマリネ。
サザエさんを見てテレビを消す。
夜は妻の持ってきてくれた幸田文の対談集を読む。