The ピーズ武道館公演

昨日は6月9日、ロックの日ということで
The ピーズ の最初で最後の武道館公演を見に行った。
The ピーズ結成30周年記念公園でもある。


九段下の駅を降りて坂を上っていくと
生活の垢にまみれて煮しまった(僕も人のことは言えませんが)
往年のロックファンたちが待ち合わせをしている。
若くても30代以上、でも50代以上という人は少ないように思う。
門をくぐる。缶ビールや缶チューハイを飲んでる人たちがちらほらといる。
物販がものすごく並んでいて、階段を上って2階まで伸びている。
Tシャツやタオル、ハッピなど。
中に入って客席を見渡すとこのTシャツやハッピを着た人たちが多かった。
気合が入っている。この中でも缶ビールや缶チューハイを飲んでいる人たちがいて。
うーむ、武道館は飲食可だったのか。缶ビール買って来ればよかった。
(後で聞くところではアリーナ席はダメとのこと)


18時半の開演時には満員。よかった。
怒髪天からフラワーカンパニーズへと受け渡されたバトンが今、The ピーズへ。
目頭が熱くなる。いいんだけど売れない。
そこそこ知名度があって全国を回るけどそれ以上大きくならない。
だけどファンからは熱狂的に愛されている。
そんな周回遅れのトップランナーたちがこのところ武道館公演を成功させている。
The ピーズもようやくここまで来たか。
ひとりで来ている男性が多いのは分かるけど、ひとりで来ている女性も多かった。
皆いい大人なんだから、興味のない友達を連れてふたりで、なんてことはせずに
家でひとり聞いてるのと同じように胸に秘めた熱い思いと共にひとりで来たか。


ステージは簡潔に奥がドラム。
真ん中にハルさんのマイクスタンドとその背後にアコギ。
向かって右手にアビさんのマイクスタンド。
それだけ。3人だけで、ゲストが加わることはなかった。
ハルさんの双子の兄、トモフスキーがアンコールで出てきて
共演とかあったりしなかいかな思ったけど、そういうのもなし。
潔く3人だけでやり通した。
ステージの背景には大きく「The ピーズ」の電飾。
左右にモニター。開演前はこれまでの30年の写真を映し出していた。
今思えばどれもメンバーだけのものだったなあ。
1人だけというのもあったけど、基本3人。他の人は写っていない。
ギターが小次郎時代やドラムがウガンダ時代というのももちろんありで。
あるいはライブのチラシや新作アルバムの告知など。


開演前の音楽はロックやソウルの名曲を。
The Velvet Underground 「I'm Waiting for the Man」
Televison 「Guiding Light」とか。
あーこの辺りを聴くんだ、となんだか不思議に思った。


18時半を過ぎて、始まる。
誰の演奏のかわからないけど、「brasil」に合わせて3人が踊りながら登場。
1曲目が始まる。「ノロマが走って行く」
そこから「とどめをハデにくれ」「鉄道6号」
昔の曲をやり始めると客席が盛り上がるけど、
うーん、初めての武道館に吞み込まれているような。
演奏する3人も客席も初めてのことにお見合い状態になっているような。
勢いがあるのを1曲か2曲やって、しんみりした曲を1曲、
みたいなことを続けていたから盛り上がりが続かない。
最初の方でアビさんもハルさんも楽しい、武道館ってこんないい場所だったのか、
みたいなことを言ってたけどそれも空元気の空回りで痛々しい。
ここまで来るのに30年かかったというのもよくわかった。
武道館のスケールに合う、選ばれたバンドじゃなかったんだ。


…そう思いながら見ていたはずが。
「シニタイヤツハシネ」で最初のピークがあって
「バカになったのに」でもう一盛り上がり合って、
後半はふっきれたのかギアが3つも4つも上がって
何を演奏してもどんどんはまっていく。
神がかりな演奏が続いて武道館をThe ピーズとファンたちが呑み込んでいく。
2回目のアンコールの最後、「グライダー」が始まったときに客電がついて
演奏が終わってホールに「好きなコはできた」が流れながら3人が消えていって
時の一体感といったらなかった。
完全燃焼。終わって皆、口々に「今日見に来てよかった」と。
東京一回限りだから熱心なファンはこの日のために会社を休んで全国から来たんだろうな。
「いつも全国に会いに行ってたのに、そうだ、来てもらえばよかったんだな」
「今日来てくれた全員のお葬式に行かなきゃいけないから、まだまだ死ねねーな」
とハルは語るし、アビさんも感極まって
50年生きていて、30年続けてきて、こんな嬉しいことはないと。
3人の人柄の良さが滲み出た、素晴らしいライヴだった。


曲目は再結成前後半々かな。自分の記録のためにメモ。
(思い出せないところをネットから補足)


01.「ノロマが走っていく」(『赤羽39』)
02.「とどめをハデにくれ」(『どこへも帰らない』)
03.「鉄道6号」(『リハビリ中断』)
04.「ブラボー」(『異国のブラボー』new single)
05.「映画(ゴム焼き)」(『とどめをハデにくれ』)
06.「脱線」( 『アンチグライダー』)
07.「でいーね」(『アルキネマ』)
08.「いちゃつく2人」 (『Greatest Hits 1』)
09.「シニタイヤツハシネ」(『とどめをハデにくれ』)
10.「クズんなってGo」(『クズんなってGo』)
11.「実験4号」(『リハビリ中断』)
12.「トロピカル」(『アルキネマ』)
13.「オナニー禁止令」 (『マスカキザル』)
14.「温霧島」(『赤羽48』)※ハルさんアコギで
15.「異国の扉」(『異国のブラボー』new single) ※ハルさんアコギで
16.「三度目のキネマ」(『アルキネマ』)
17.「絵描き」(『アルキネマ』)
18.「ハニー」(『どこへも帰らない』)
19.「喰えそーもねー」(『The ピーズ』)
20.「どっかにいこー」(『ブッチーメリー SIDE B』)
21.「線香花火大会」(『リハビリ中断』)
22.「バカになったのに」(『Greatest Hits 1』)
23.「みじかい夏はおわっただよ」(『とどめをハデにくれ』)
24.「日が暮れても彼女と歩いてた」(『とどめをハデにくれ』)
25.「サイナラ」(『The ピーズ』)
26.「ドロ舟」(『リハビリ中断』)
27.「真空管」(『アルキネマ』)
28.「生きのばし」(『The ピーズ』)


E1-01.「底なし」(『どこへも帰らない』)
E1-02. 「ゴーラン」(『The ピーズ』)
E1-03. 「デブ・ジャージ」(『Greatest Hits 2』)
E1-04. 「君は僕を好きかい」(『クズんなってGo』)
E1-05. 「脳ミソ」(『どこへも帰らない』)


E2-01.「何様ランド」(『どこへも帰らない』)
E2-02. 「グライダー」(『The ピーズ』)


「とりあえずここはいい気持ち」
「やりっぱなしでさいならだByeBye」
「いいコになんかなるなよ」
といった初期の代表曲はやらず。やってたら印象がかなり違ってたでしょうね。
再結成後の『The ピーズ』から先にも名曲が多いから、まあやらないかな。