鍋焼きうどんというもの

青森で元日の夜食用に買ったアルミの鍋焼きうどんを
持ち帰ってきて昨日の昼、つくって食べた。
安いし手軽で子供の頃、学生時代、よくつくったな。
21世紀の今もあるんだなと懐かしい気持ちになる。
ガスコンロもIHも両方対応とあって、進化してるんだなと感心した。
 
元日の初詣のあと、青森駅前に出て「柿源」に入って早目の昼を食べた。
小学生の時ここで食べた鍋焼きうどんがおいしくて、
その後中学生・高校生とここでよく家族で食べた。
大学生になって、社会人になっても機会があれば食べた。
しかし今回入ってメニューを見たら鍋焼きうどんがなくなっていて、
聞いたら3年前に麺類は全てやめたのだという。
隣りに蕎麦屋ができたのがその理由のひとつなのだとか。残念だ。
そこに行けばいつも食べることができると思っていたものが、実はそうではなかった。
そのことに気づいたとき、心の中に小さな穴が開く。
 
それでいくと……、なのが鍋焼きうどんがらみでもうひとつあって。
油川に住んでいた頃、冬に帰省するとよく鍋焼きうどんをつくって食べた。
専用の鉄製の鍋があった。
いつも使うスープというか出汁の入った小袋があって、それがとてもおいしかった。
甘過ぎず、辛過ぎず。冬に食べるとホッとする味。
青森のどこかの小さなメーカーが製造しているものだと思う。
一袋30円ぐらいで売っていてたぶんそんな儲かるものではない。
今の場所に引っ越してIHになったとき、専用の鍋は捨ててしまった。
土鍋も使えず、鍋焼きうどんをつくることはなくなった。
ゆえに件の出汁の小袋も母が買うことはない。僕も見かけることがない。
青森市内のスーパーを探し回れば今も買うことができるのだろうか……
Amazon で売っているようなものでもない。
何年もしてから失われたことに気づく、
最後にそれと出会ったのがいつなのかもはや思い出せない、そういうものもある。
いや、案外全国区で普通に売られていて東京の、身近なスーパーにもあったりして。
 
余談。
以前、テレビを見ていて目からうろこだったのが、
有名なうどん屋の主に聞くと、鍋焼きうどんは土鍋でつくらないんですと。
うどんは別で煮て、最後に土鍋にうどん、出汁、具材を乗せて蓋をする。
でないとグダグダな煮込みうどんになってしまうんだろうな。
こういう、名前と違って予想と違うつくられ方のするものって
世の中にたくさんあるような気がする。