初めての金継

先週の夜、妻が洗いものをしていたら悲鳴が。
大事にしていた湯呑がツルッと滑って流しに落として、縁が欠けてしまったという。
僕の洗い方が不十分だったから洗い直そうとしたらこうなったという話で……
市販の陶器用接着剤でくっつけたらそれなりにはまったんだけど、
表面がべたべたして接着剤の臭いがするし、
その個所に口をつけて飲むのはやめた方がよさそう。
 
よし、と思い立ってこの機会に金継をやってみようと思い立つ。
しかし調べてみると初心者向けのキットはあるものの結構な値段がする。
1万円弱。安いのか、高いのか。
色々見てみた結果東急ハンズのだったら間違いがないかと。取り寄せてみた。
 
小さめの段ボール箱
漆の入った小瓶が二本、真綿、砥粉、小麦粉、金粉などが小袋に入っていた。
今日の朝、さっそく初めてみた。詳細な手順書も同梱されている。
第一工程:漆固め
第二工程:接合(麦漆接着)
第三工程:
第四工程:刻苧付け
第五工程:錆漆付け
第六工程:錆研ぎ
第七工程:塗り
第八工程:塗りの研ぎ
第九工程:金粉蒔き
第十工程:金粉固め
 
え? こんなに手間がかかるの?
しかも、各工程ごとに乾くまでに3・4日~2週間待つことになっている。
ひー! そんなに時間のかかるものなのか。
今日の午後3時間ぐらいで終わるんじゃないかと勝手に思っていた。
 
とりあえず、まずは第一工程の漆固め。
2種類の小瓶の内、透漆の方を塗る。
とろーっとしたこげ茶色の液体をそーっとかけた縁の周りに塗ってみる。
合わせて、チラシの裏にも塗っておく。
これに綿棒に当ててみて付かないようならば乾いている。
これがどれぐらいで乾くものなのか、そこからして分からない。
接着剤のように数分で? なんて思っていたらそんなわけなかった。
3時間かかってまだ全然乾いてないので
この日はもう次の工程は諦めることにした。
 
基本不器用なので欠けた部分よりもだいぶ広い範囲に漆が広がった。
それを拭き落そうとウエットティッシュでそっと拭う。
それをすぐ捨てればいいんだろうけどもったいないもったいないと
漆のついていない箇所で他のところを拭ってとしているうちに
いつのまにか指や湯呑の全然関係ない箇所にも漆が付いていた。
それで慌ててウエットティッシュをチラシの上に置いたら
乾燥確認用に試し塗りしたところで、
それに気づかずにまた持ち上げて指に付いたりと。
もうしっちゃかめっちゃか。
 
少量だったからか漆でかぶれることはなかったけど、
そのままにするわけにもいかないと説明書きにあったように
サラダ油で手を洗う。
そんな感じで最初の半ページにしてドタバタ。
心の余裕はなくイライラしっぱなし。
始める前は妻に「俺、才能あったらどうしよう」などとほざいていたのに、
最初の五分で「あ、ねーわ」と見切りをつけた。
これは時間とお金をけちらず体験レッスンを受けてからの方がよかったな。
 
とりあえず、明日は漆が渇いているだろうと第4工程へ。
途中の第二・第三工程は割れてるのをくっつける場合なので割愛。
いやー、先が思いやられる……
……湯呑をちゃんと洗っていたらこんなことにはならなかった。