薬局にて

(以下、不快な話になります。すみません)
 
こんなことがあった。
月一のクリニックで花粉症の薬を処方してもらう。
道路を挟んだ向かい側に小さな調剤薬局がある。
都内各地に店舗を構える大きなチェーンのひとつだ。
前回利用した際に、
「近くにある大きな病院の施設の中に新しく作られる店舗に移転するので
 9月以後はそちらをご利用ください」
といった内容の説明と地図の記載されたペーパーが一緒に手渡された。
ふーん、そうなんだ。この場所便利だったのにな、と思う。
 
それが一昨日の金曜、処方箋を手に外に出たら
これまでの場所で調剤薬局が営業している。
あれ? 移転は延期か中止になったのだろうかと入ってみたら
問診票の記入を求められる。
住所や薬でアレルギーの出たことはあるか、といったよくあるものだ。
事務の方が薬局をリニューアルしたのでお願いしますという。
ま、それぐらいいいかとササッと書いて窓口に戻す。
 
家に帰って領収証を比較してみたら確かに薬局の名前が変わっていた。
しかし、なんでこういうことをする必要があるんだろう?
大人の事情でしかないんだろうな。
店舗が広くなったわけでも狭くなったわけでもないし、
カウンターの配置とか間取りも変わらない。
店舗の見た目は同じで、顔なじみの薬剤師は一人もいない。
こちらの店舗はそのままにして、
大病院の方に新しい薬局をつくったらよかったんじゃないか。
これが今回なんだかなあと思ったことのひとつ。
 
もうひとつ。
僕が入ったとき、もう一人年配の方が先に座っていた。
激昂して「役員を呼び出せ」「役員を今すぐ連れてこい」と怒鳴っている。
薬剤師の方が「今、店舗の責任者に電話をつなぎますので」と言っても、
「責任者ぐらいじゃらちが明かない、役員を出せ」の一点張り。
どうも、その調剤薬局チェーンの同じ看板を掲げているのに
また問診票を書かなきゃいけないのが解せない、
それでも処方箋を預けたら薬の在庫が足りなくて本日は処方できない、
それが前回来た時もあった、なんで用意してないんだ、
周りにも同じ系列の調剤薬局があるんだから今すぐ持ってこさせればいい。
なんでそんな簡単なことができないんだ?
そういう話のようだった。
 
言わんとしていることはわかるが、そんな怒鳴る必要があるのか。
周りの人がうるさいと迷惑に思うことなど知ったことではない。
今、こういう老人が増えてるんだろうな。
恐らく、さほどいいことのない人生だった。
ペコペコと頭を下げて謝ってばかりでバカにされ続け、とか。
だから今、自分の方が立場が上となるとここぞとばかりに偉そうにする。
なんでもいいからとにかく役員を出せとか。
人間が小さいなあと聞いててうんざりした気持ちになった。
 
……それが。
店舗の責任者が電話に出ましたとコードレスの子機を老人のところに持っていく。
「責任者じゃ話にならねえよ、こいつ役員なのか? 役員だって言ってんだろ」
と言いつつ、話し始めたらその責任者の説明することに納得したのか、
なんか捨て台詞を残しつつ子機をカウンターに置いて店を出ていった。
ええー!? そんな簡単に引き下がるの?
さっきの威勢のいいのはどこ行ったんだよ……
ほんと小物だな……
 
その後別な場所で
「接客がなってないから俺が怒鳴ってやった」と武勇伝を語ったのだろうか。