先週買ったCD #94:2022/07/25-2022/07/31

2022/07/25: BOOKOFF PLUS なんば戎橋店
The Blood Brothers 「... Burn, Piano Island Burn」 \550
(Soundtracks) 「Twin Peaks Fire Walk With Me」 \330
(V.A.) 「Les Mystere Des Voix Bulgares」 \550
(V.A.) 「Bossa Disney Nova」 \330
 
2022/07/26: メルカリ
Percy Faith 「Percy Faith's Greatest Hits」 \720
(Soundtracks) 「Il Vangelo Secondo Mateo」 \999
 
2022/07/28: www.hmv.co.jp
Propaganda 「A Secret Wish」 \3127
 
2022/07/30: BOOKOFF 新宿駅西口店
Simon & Garfunkel 「The Simon & Gargunkel Collection」 \550
Biohazard 「Mata Leao」 \330
 
2022/07/30: www.amazon.co.jp
Les Troubadours Du Roi Baudouin 「Missa Luba」 (\603)
amazon のポイントで
 
2022/07/30: www,hmv.co.jp
Bump Of Chicken 「Jupiter」 \330
 
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(Soundtracks) 「Il Vangelo Secondo Mateo」
 
ピエル・パオロ・パゾリーニ監督の1964年の作品、『奇跡の丘』のサントラ。
 
パゾリーニ監督の映画を最初に見たのは学生時代、映画サークルの飲み会の後。
部室か、誰かのアパートか。
ダビングを繰り返したビデオテープの『ソドムの市』だった。
日本語の字幕はなかった。海外からなんらか入手したものか。
徹底したインモラル、悪徳とお下劣さ、汚らわしさゆえに国内での発売は難しく、
当時は知る人ぞ知る作品だった。(原作はマルキ・ド・サド
今は普通に DVD で国内版が買うことができる。
 
酔っぱらいながら見ていたので面白さはよくわからず。ストーリーもよくわからず。
でも、徹底した反道徳と牧歌的、イノセントな二面性は印象に残った。
パゾリーニ監督の名前は覚え、後日レンタルビデオで『豚小屋』を見てはまった。
以後、『テオレマ』『デカメロン』『奇跡の丘』と手当たり次第に借りた。
徹底して作り込んだ中世のセットに素人の役者が出てきて笑ってるだけとか。
なんかよくわからないが、なんかすごい。
存在感、肌触り、匂い・臭いでここまで語る映画があるのか。
内容はとってつけたような喜劇か悲劇という落差、その空虚な感じもそそられた。
 
著名な原作を元に映画を作ることが多い。
『奇跡の丘』の主人公はイエス・キリスト
何の衒いもなく、人間キリストの生涯をそのままに描く。
聖母マリアも普通の女性として妊娠して臨月を迎える。
そんな姿を描くのはそれまでタブーであっただろう。
その生涯を描くにおいて一切のファンタジーを拒否する。
パゾリーニ監督は無神論者だったという。
 
その映画音楽が自分にとって初めて認識したブラジル音楽だったと思う。
それがなんらかのブラジルに由来する音楽だということはわかった。
だけどそれが何なのか詳細は分からなかった。
DVD を購入したので映像と共に聞くことはできる。
しかし、音源として聞いてみたかった。
 
ずっとサントラはないものと思い込んでいた。
たまに思い出して検索するが、手掛かりはなし。
それが先日ふと思いつき、映画の原題で検索したらすぐ出てきた。
だいぶ前にCD出てたんですね……
なんで思いつかなかったのだろう。
メルカリで安く買うことができた。
 
1曲目と最後の18曲目がそのブラジル音楽で、
今聞いてもなんとも言いようのないブラジル。
サンバと言えばサンバ。祝祭感と多幸感の溢れる。
2曲目がオデッタ。アメリカの黒人女性フォークシンガー。
他、バッハの”マタイ受難曲”やモーツァルトの”アダージョとフーガ ハ短調
 
……というかここまで書き進めてきて、サントラを改めて眺めて初めて分かった。
ブラジル音楽かと思っていたのは、コンゴの合唱団だった。全然違った……
Les Toubadours Du Roi Baudoin というグループ。
なんとも恥ずかしい限り。
あのリズムは中央アフリカのパーカッションだったのだな。
 
気を取り直して。
プロコフィエフ作曲の”アレクサンドル・ネフスキー”は同名映画のサントラから取られたようだ。
いや、もはや何を言っても無駄か。
しかし、30年近く謎に思っていた音楽がなんだったのかわかっただけでもありがたい。
 
他のパゾリーニ監督の映画でサントラが出てないか試しに見てみると
『テオレマ』がエンニオ・モリコーネだったのですね。
今年、アナログレコードで再発されていた。
CDでは出ないんだろうな。
 
追記:
Les Toubadours Du Roi Baudoin「Missa Luba」も追って入手。
ラテン語のミサ曲をコンゴの少年合唱団が歌う。
1958年リリースらしい。
当時はまだベルギー領で、ベルギーの修道士の働きかけにより結成された。
アフリカン・パーカッションと聖歌の融合。
異色の聖歌集としてこれはなかなか面白い。
 
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Percy Faith 「Percy Faith's Greatest Hits」
 
学生時代、特に修士課程の2年間、映画ばかり撮っていた。
修士論文を書き終え、卒業を前にした2月・3月も撮影していた。
2年間で休みなく5本も撮ったあとだけあって
この最後の作品が自分にとってもひとつの到達点になった。
就職でもうそれ以上つくれないのが残念だった。
頭の中がそのモードになっていて、流れをつかんでいた。
時間があればさらにその先へと進めたのだと思う。
何を作りたいか、何が作れるか、イメージができ上がっていた。
 
最後の場面は飛行機が離陸するところ。
ひと気のない楽園へと向かう。
そこに流れる音楽はパーシー・フェイス・オーケストラの
”The Theme From 'A Summer Place'”
(夏の日の恋 ~「避暑地の出来事」より)
その頃、タイトルは知らなかったが、あの曲が頭の中で鳴り響いていた。
誰もが聞いたことがあると思う。
 
パーシー・フェイス・オーケストラと言えばイージーリスニングのコーナーでよく見かける。
ベスト盤みたいなのが国内盤でも何種類も出ていて、中古CD屋でも投げ売りされている。
ムード・ミュージックの定番というか。
流麗で美しい『だけ』の毒にも薬にもならない音楽というか。
僕も1枚だけ持っていた。
他に”ムーン・リバー”や枯葉”といった定番が入っている。
でも、聞くのは”The Theme From 'A Summer Place'”だけ。
 
最近になって知ったのは、今入手が容易なアルバムは
楽団のリーダーにして指揮者だったパーシー・フェイスが1976年に亡くなったあと、
残されたメンバーたちが90年代に入って別の指揮者を招聘して録音したものだという。
なるほど、だからそこはかとない違和感を覚えたのかもしれない。
 
先日、神保町PASSAGE の搬入のついでに DiskUnion でCDを売ろうと持っていったら
パーシー・フェイス・オーケストラの旧規格っぽいアルバムの国内盤を見かけた。
「Malaguena」というタイトルでエキゾチックな顔立ちの女性がジャケットに写っている。
これがどうもオリジナル録音っぽい。買いだ。580円と値段も手ごろ。
”南京豆売り”などラテン系の曲を集めたアルバムのようだ。
しかも驚いたことに1987年の発売なのに解説を読んだらデジタル・リマスタリングされていた。
 
聞いてみたらオリジナル盤は全然違った。
パーカッションも管楽器も弦楽器も躍動感があって艶っぽい。
音が色づいている。美しさの陰の憂いもある。
後年の再録音がイージーリスニングというか
BGMとして流れていくだけのエレベーターミュージック以上のものを望んでいないとしたら
オリジナルの録音はオーディオセットを前にして鑑賞するためのものだ。
 
そもそもがオーケストラの名前からして違うようだ。
オリジナルが Percy Faith And His Orchestra となっていて、
後年の再録音のアルバムは The Percy Faith Orchstra だった。
The が付くことで一般名詞化して距離が生まれている。
 
これはもっとオリジナル録音を聞きたい、
何と言っても ”The Theme From 'A Summer Place'”を聞きたいと探してみる。
オリジナルアルバムが100枚を超えている(!?)ので
もはやどのアルバムに収録されているのかよくわからず。
この曲は1959年なのでその頃、と思うが、もしかしたらアルバムには未収録なのかもしれない。
シングルで発表されて1960年に全米No.1を獲得、
初めてインストゥルメンタルの楽曲がグラミー賞を受賞したのだという。
ベスト盤にしか収録されていないのだろう。
 
というわけで生前に発売されたベストアルバムを探したら見つかったのが今回の1枚。
コロンビアレコードから出ている。水色の背景に紫色の枠。笑顔のパーシー・フェイス
ああ、これがオリジナルの ”The Theme  From 'A Summer Place'”かあ……
この楽団の曲をそんなにたくさん聞いたことがあるわけではないけど、
ヴォーカル入りが何曲かあった。映画音楽として使われたのだろうか。
曲目としては他に『マイ・フェア・レディ』や『ムーラン・ルージュの歌』など。
ほとんどは50年代の曲なのだろう。
アメリカの最良の時代を体現する音楽のひとつだと僕は思う。