先週買ったCD #106:2022/10/17-2022/10/23

2022/10/17: tower.jp
裸のラリーズ 「' 67-' 69 STUDIO et LIVE」 \3300
裸のラリーズ 「' 77 LIVE」 \5500
 
2022/10/17: www.hmv.co.jp
あいみょん 「瞳へ落ちるよレコード 初回限定盤」 \5940
BTS 「Proof (Compact Edition)」 \2640
Red Hot Chili Peppers 「Return of the Dream Canteen」 \2860
The Beach Boys 「Feel Flows: The Sunflower & Surf's Up Sessions 1969-1971」 \3643
Petshop Boys 「Bilingual : Further Listening 1995-1997」 \2640
Lake Street Dive 「Fun Machine: The Sequel」 \1980
Brian Eno 「Foreverandevernomore」 \2640
Blackpink 「2nd Album: BORN PINK (Box Set Ver.)」 \2805
 
2022/10/17: www.amazon.co.jp
Les Baxter 「Brazil Now」 \1280
2022/10/18: diskunion.net
Liam Gallagher 「MTV Unplugged」 \1400
DJ Spooky That Subliminal Kid & Dave Lombardo 「Drums Of Death」 \480
Diplo 「Revolution」 \480
Lone Ranger 「Hi Ho Silver Away \880
 
2022/10/18: www.amazon.co.jp
DJ Logic 「The Anomaly」 \26
Porishead 「Dummy」 \680
Souad Massi 「The Best of Souad Massi」 \1000
 
2022/10/19: diskunion.net
UA 「11 (Deluxe Edition)」 \2137
UA 「Petit (Deluxe Edition)」 \2137
world's end girlfriend 「dream's end come true」 \266
world's end girlfriend 「Seven Idiots」 \361
world's end girlfriend 「hurtbreak wonderland」 \551
(Soundtracks) 「空気人形」 \646
Great 3 「Romance (紙)」 \1235
石野卓球 「DJF400」 \455
Aerosmith 「A Little South Of Sanity」 \1235
Them Crooked Vultures 「Them Crooked Vultures  - Limited Deluxe Edition -」 \1426
Eagles Of Death Metal 「I Love You All The Time Live At The Olympia In Paris」 \1330
Alec Empire vs Merzbow 「Live CBGB's NYC 1998」 \455
 
2022/10/19: www.hmv.co.jp
斉藤和義 「I Love Me」 \297
斉藤和義 「HALF」 \297
Julian Cope 「Trip Advizer The Very Best Of Julian Cope 1999-2014」 \1386
 
2022/10/19: www.amazon.co.jp
Felix Perez Cardozo 「El Arpista del Paraguay」 \1431
 
2022/10/20: www.hmv.co.jp
Bjork 「fossora」 \2970
 
2022/10/20: diskunion.net
The Boris Gardiner Happening 「Sledgehammer」 \1300
 
2022/10/21: diskunion.net
Country Comfort 「We Are The Children」 \1100
Monty Alexander 「Stir It Up The Music of Bob Marley」 \480
Mayhem 「Live In Leipzig」 \1200
Rodrigo Amarante 「Cavalo」 \880
Rodrigo Amarante 「Drama」 \1100
 
2022/10/22: BOOKOFF 荻窪駅北口店
斉藤和義 「白盤」 \450
Alice In Chains 「Noting Safe: Best of」 \693
 
2022/10/22: BOOKOFF 吉祥寺駅北口店
The Strypes 「Live In Tokyo 2015」 \450
(V.A.) 「ドリームドルフィンの地球音楽図鑑 vol.1」 \330
(V.A.) 「The Best of Punk O Rama」
 
2022/10/22: DiskUnion 吉祥寺店
斉藤和義 「紅盤」 \432
The Pogues 「If I Shoud Fall From Grace With God」 \522
(V.A.) 「角川映画主題歌集」 \1530
 
2022/10/23: www.hmv.co.jp
KMFDM vs. PIG 「Sin Sex & Salvation」 \110
Los Hermanos 「On another level」 \330
 
2022/10/23: BOOKOFF 練馬光が丘店
NRBQ 「Christmas Wish - expanded edition」 \450
Sarah Brightman & Andrew Lloyd Webber 「Surrender : The Unexpected Songs」 \330
(Soundtracks) 「Le Grand Bleu」 \693
(V.A.) 「TV-CMソング・ベスト22」 \550
(V.A.) 「Coca-Cola Commercial Songs 1962-89」 \2530
 
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Felix Perez Cardozo 「El Arpista del Paraguay」
 
先週の日曜、ノラ・ジョーンズの来日公演のため武道館へ。
駅前に出るついでに妻が図書館に本を返しに行くというので、公園に寄り道。
近づくにつれ、何かが聞こえてくる。音楽と人々の賑わい。
なんだろう? 何年か前に野外ステージで
バンドが演奏をしていたことがあったけど、あれだろうか?
 
広場の端に小さなステージが作られ、
色とりどりの民族衣装を着た人たちがハープを演奏していた。
ハープは7台か8台はあっただろうか。
木製の、あの大きなのがずらりと並ぶ。
多くが女性で日本人。外国人の男性も一人か二人いたと思う。
ステージの上には大きな横断幕で「パラグアイ・フェスティバル」とあった。
あー、そうか。何年か前にもやってたな。
曲の演奏が終わって外国人の男性がおそらくパラグアイの言葉でスピーチ。
その後で日本人の女性が通訳したのか、別のスピーチなのか、
パラグアイ・フェスティバルは3年ぶりの開催となります」と語っていた。
 
ステージの前にできた通路には左右に飲食店や民芸品のテントが並ぶ。
エンパナーダというパン生地の揚げ餃子みたいなのとか。
アルゼンチン料理の店が目立ってたような。
ブラジル料理の店だったか、シュラスコが長い行列だった。
ステージの前もそれらの店も大賑わいだった。
しまったなあと思う。もっと前から知っていたらここで昼を食べてビールを飲んだな……
 
音楽が始まって1曲聞いた。
そういえばパラグアイの音楽ってこれまできちんと聞いたことがなかったな。
ブラジルのサンバ、アルゼンチンのタンゴ、アンデスフォルクローレ
楽器で言えばケーナ(葦の縦笛)、
サンポーニャ(長さの異なる葦を横に並べて結わえた笛)、
チャランゴ(胴体の小さな10弦ギター)など。
ハープというイメージはなかった。
西洋音楽のオーケストラで見るハープもあったとしても1台だけ。
こんなふうにたくさん並べて演奏するのは初めて見た。
 
1台のハープでも天使の寄り添うような優しい、美しい音に感じるのに
合奏ともなると一筋の清らかな小川が大河に連なるかのようで、迫力を増した。
天井から降り注ぐ音楽のように聞こえた。
この世界にはまだまだ僕の知らない音楽があった。
都心に移動しなければいけなかったのでその1曲でステージ前を後にした。
ため息をつきながら駅までの道のりを歩いた。
 
大江戸線の中でさっそく、amazon のアプリを立ち上げて
パラグアイの音楽を検索する。
やはりパラグアイと言えばハープだった。訛ったのか、アルパと呼ぶようだ。
こんなときにはキング・レコードの『World Roots Music Library』シリーズ、
と思って見てみると「パラグアイのアルパ」という作品があった。
しかし、中古でも35,000円という値段に。びっくり。
他のを、と探し続けるうちに「パラグアイ・アルパの巨匠」というアルバムを見つけた。
フェリクス・ペレス・カルドーゾという人がその巨匠のようだ。
国内盤帯付きで1,000円台半ばの値段だったのでそれを取り寄せてみることにした。
 
解説を読むとハープの原型に当たるものが宣教師たちによってもたらされ、
パラグアイに限らずメキシコやベネズエラなど広く普及したようだ。
都市部では廃れ、新しい楽器が入ってきた一方で
パラグアイなど一部の地域では日常生活に深く浸透した。
このフェリクス・ペレス・カルドーゾも身の回りでハープが日々演奏されていたのを
見聞きするうちに自分でも始めたのだという。
南米の音楽的中心地だったブエノスアイレスに移住、
1930年代半ばには録音を始め、自らの楽団を持ち、
1950年代に入って全盛期を迎えるも44歳の若さで病により亡くなる。
彼の功績を称えるため、故郷の村はその名前を彼の名前に改めた。
 
公園で見たように何台ものハープを重ねるのではなく、
フェリクス・ペレス・カルドーゾの奏でるハープの脇をギター2本で固めるという編成の曲が多かった。
何曲かは歌が入り、何曲かには控えめな弦楽器や管楽器が華を添えていた。
芸術のため、というよりも大衆の娯楽のための音楽であるため、
タンゴやサンバがそうであるようにこれらの曲も歌謡曲であり、踊るための曲だった。
ハープがムードを作り、ギターは歯切れよくリズムを繰り返す。
ハープの音色が高いために典雅な響きがあり、軽やか。
時代がそうだったのだろうけど、素朴で清らか。
簡潔にして無駄がない。
 
CDは『ディスコロヒア』レーベルで手掛けたものだった。
南米音楽の解説でよく見かける田中勝則氏が
優れた南米音楽を掘り起こして新しい視点で選曲し、一枚にまとめる。
カタログが同封されていた。
1930年代のルンバとか気になるなあ。
今度この辺りも探ってみたい。
 
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Rodrigo Amarante 「Drama」
 
ノラ・ジョーンズの来日公演つながりでもう一枚。
武道館に入った。前座はロドリゴ・アマランテという方。
ブラジルから来たシンガーソングライターだという。
名前だけ見てもピンとこなかった。
17時半にギター1本抱えて現れる。
年季の入った流しのような風貌。
低い、穏やかな声で歌い始めた。
 
チケットには18時開演とあって、
あるとき途中から聞こえてきた場内アナウンスでは15分の休憩のあとで
ノラ・ジョーンズの演奏になるという。
じゃあ15分ほど、3・4曲やって終わりだろうか、などと考えた。
1曲聞いただけだと、ふーん、という感じだった。
2曲目で口笛が入った。ブラジルの音楽で口笛って珍しいかもしれない。
3曲目でも入ったかな。
メロディの起伏よりも音の佇まいで聞かせるというタイプ。
4曲目、5曲目と続いて、あ、まだやるんだ、と。
 
そのうちに彼の声、奏でるギターの音が僕の波長に合うようになった。
心のひだにそっと入り込んでくる。
サウダージ。郷愁。夏よりも秋。
落ち葉の敷き詰められた道を一人歩く、風に枯葉が舞う、というような。
この人は人として普遍的な感情を歌っているのだろう、ということが伝わってきた。
 
18時を少し過ぎるまで演奏して最後の曲はピアノで演奏した。
いいステージだったな、と思った。
 
1曲が終わると何回か「アリガトウ」と日本語で。
登場した時には「ミナサンニオアイデキテウレシイ」とも言っていた。
必死になって練習したんじゃないか。
努力家、苦労人、優しい人なんじゃないかと思った。
英語でも「このステージのことを忘れない」「あなたたちはとても優しい」
としみじみ語っていた。
 
休憩時間に、このロドリゴ・アマランテという人は
CDを出しているのだろうかと amazon で調べてみた。
カタカナだとうまく検索できず、主催のウドー音楽事務所
ノラ・ジョーンズ来日公演のページを開いてみた。
二日前、14日の東京公演のライブレポートを読んで驚いた。
ロドリゴ・アマランテは元 Los Hermanos だという。え!?
Los Hermanos は僕の iPhone にも3枚のアルバムを常備している。
「Ventura」(2003)
「Quatro」(2005)
Los Hermanos Na Fundição Progresso - 09 De Junho De 2007」(2008)
 
一言で言えばオルタナティヴ・ロックバンド。
ローファイ、音響系、The Strokes らのロックンロールリバイバルなどに影響を受けた音。
なのにどこかブラジルの風を、水を、感じる。
スタジオアルバムを4枚、ライヴアルバムを1枚だけで解散したのが残念。
同世代のプロデューサー、カシンとコラボレートした作品もあって、
その後のブラジル音楽の未来につながっていた。
 
DiskUnion で調べたら2枚のソロアルバムが中古で出ていたので
休憩時間、ノラ・ジョーンズが出てくる前にオーダーした。
 
Los Hermanos は同じ名前でデトロイト・テクノ系のグループもあるので注意。
 Underground Resistance 関連なので、そっちの方が有名かな。
 国内盤帯付が安く買えるので、今回取り寄せてみた)
 
2作目の「Drama」(2021)から聞く。
ソロアルバムとはいえ、もちろんのこと
先日のステージのようなギター弾き語り+口笛ではなかった。
多くの楽器を自ら演奏しているのだと思われる。
そこにゲストでパーカッションや弦楽器、管楽器がさりげなく加わる。
隙間の多い、淡々とした、語りかけるような曲は変わらずだけど、
楽器が増えることでそのまま彩りが増えることになる。
予定のない日曜の午後、平熱で、いつもの公園に歩いていくときに聞く音楽とでもいうか。
日常生活にそっと寄り添う音楽。
これから先も僕は長く聞くことになるだろう。
もしかしたら Los Hermanos 以上に。
 
1作目の 「Cavalo」(2013)の方は
過去のオルタナ・ロックバンドから地続きの音もあったな。
実験的な音作りも随所に。
「Drama」が8年ぶりの作品。いい意味でどんどん枯れていったんだな。
男として憧れる、かっこいい枯れ方。