事故

月曜のこと。
最近参画した案件ではオンラインの会議で顔を出すことが多い。
もう少し長袖のシャツがあったほうがいいなと
昼、駅ビルのユニクロに買いに行く。
 
通りの右手に中学校、左手に小学校。
小学校の手前はこれまでかなり広い畑だったのが
大半をつぶして今、マンションを建てるための工事を始めた。
今日も小型のショベルカーが1台土を均していた。
その周りに何人か働いている。
日に焼けた外国人労働者が多かった。
 
ガチャンという大きな音がした。
え? と思い、前を見ると二台の車が玉突き。
軽自動車にトラックがぶつかって、
軽自動車の後ろのガラスが粉々に砕けて道路に飛び散っていた。
前の車が急停止したのか、
もともと停止していたところにトラックがぶつかっていったのか。
工事現場に気を取られていて、その瞬間は見なかった。
 
え? え? と思いながら横目で見つつ通り過ぎる。
軽自動車には老夫婦。
トラックを運転するのも老人のドライバー。
工事現場の交通整理も老人。
三者三様にうっかりしたのか。
少なくともドライバーか交通整理かどちらかがやらかしたんじゃないか。
それぞれの車から降りてくるが、怒鳴りあうでもない。
やれやれという感じだった。
 
大事なところは見なかったし、証言は交通整理の老人が行うだろうとそのまま通り過ぎる。
割れたガラスは保険で直すだろうし、工事現場の作業員がガラスを片付けるだろう。
 
ユニクロでの買い物を終えて、帰り道につく。
事故現場に差し掛かる。
自転車でやってきた警官が二人、荷台を使って書類を書いている。
トラックのドライバーに声をかけ、何かを確認していた。
工事現場は何事もなかったように土を均す作業を続けている。
軽自動車を運転していた男性が腕を組み、苦虫を噛みつぶしたような顔をしている。
過失はトラックの側にあったのか。
 
呼び止められることもなく、通り過ぎた。
今回の一件でこのドライバーも職を失ってしまうのだろうか。
次の仕事に就けるのだろうか。
そんなことを思うが、何も関われず。
いつも通り、家に帰った。