「29」完成

今日ようやく、映画「29」が完成した。
とにかく長かった。−−−1年がかり。
これまでの僕の製作歴からしたら異例なまでに長い。
学生時代は最短3日(撮影から編集まで含めて。それでも60分ある)
長くても3ヶ月ぐらい。平均すれば1ヶ月か。
長期の休みにガッと撮って篭って繋げるから短い期間で仕上げることが可能。
前作「on fire」は会社の人たちと土日に撮って編集も土日だったから半年近くかかった。
今回はそれ以上に時間がかかってる。


撮影は去年の11月に始めて、3月までに一通り終了。
ゴールデンウィークに前半部分のおおまかな編集。
6月はモロッコ行って追加撮影してきて、
その後旅の疲れからしばらく着手する気になれず。
8月末よりようやく編集再開。
1ヶ月かけて後半部分をつなげると
そこからさらに1ヶ月かけて細かい部分の手直し。
曲作りをお願いしたアオヤマさんとのやりとりもあった。


奇しくも撮影初日が1年前の11月6日で、完成もまた11月6日だった。
日数的にもぴったり1年間。
昨日完成していたらちょうど365日だった。
(いや、今年は閏年だから366日か)


これでようやく肩の荷が下りた。
当分映画はいい。
というかこれが最後なんだろうな。このままいくと。というか年齢を考えると。
やりたくはあるのだが、
今回みたいにほぼ1人で何もかもやるようなのはもうしんどいな。
誰かが趣味で気楽に作ってる映画の手伝いを土日にできたら一番楽しいだろう。

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技術的にはこれまでで最も完成度が高い。
初めてデジタルで編集した「on fire」から較べるととんでもなく飛躍している。


でもたぶん、これはほとんどの人にとっては見てもつまらないものなのだと思う。


僕の半生を振り返るようなものだから、そもそもその時点で明確なストーリーがない。
今回の映画はこれまでの僕の映画とは違って何を言いたいのかははっきりしているつもりだが、
それでも「何を言わんとしているのか全く分からない」という人ばかりになるはず。
これはもう仕方ない。
他の人に見てもらいたくて作ってるのではなくて、
「作りたい」という気持ちだけで1人走ってるような作品なのだから。


つまり、個人的すぎる。開かれてない。
かといって個を突き詰めた末の突き抜ける瞬間があるわけでもない。
普遍的な表現に到達するような、そういう何かがない。


絵的にいい部分はいくつかあるんだけど、
全体として居心地の悪さばかりを見る人に与えるんだろうな。


・・・何もわざわざ暗いことは書きたくないんだけど、
客観的に見てそういう作品なのだからどうにもならない。

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でもまあ僕としては作ってよかった。一切後悔していない。
「これが今の僕だ」そう言い切れるものを作れたから。