12月31日、その後。
29日に引き続き、大雪。
ゆりかもめが止まった、と聞く。
空は真っ暗。吹雪。青森で過ごす大晦日のようだった。
お台場が白く覆われている。
昼食は事業部長が差し入れ。
日本橋の高島屋でカニの入った寿司だとか、井泉のかつサンドとか。
出社したメンバー全員分。太っ腹。
淡々と仕事をこなしていく。
テストをしたり、データの検証をしたり、手順書を作成したり。
そうこうしているうちに刻一刻と20代最後の何時間かが過ぎていく。
夜9時ごろ。
みんな帰りだす。
明日も明後日も出社することが決まって、
せめて今日は早く帰るかという雰囲気が漂いだす。
午前0時近くまで仕事していてカウントダウンが始まり、
「30歳になった瞬間は会社で働いてました・・・!」というのを密かに狙っていたのだが、
このままだと中途半端なことになりそう。
僕も会社を出ることにする。
1人トボトボと駅に向かって歩く。
東京タワーが夜空に聳え立っている。「2004」と電光掲示板が輝いている。
あれがあと何時間かしたら「2005」に切り替わるのだろう。歓声と共に。
恋人たちばかり目につく。
年が切り替わる瞬間っていうのはクリスマスイヴ並みに大事なひと時なのだなあと思う。
クリスマス前後に街で恋人たちを見かけても侘しい気持ちになるものだが、
「20代最後の夜」かと思うと大晦日の夜に見かける恋人たちの姿はもっと強く僕の心に響いた。
とてつもなく寂しい気持ちになった。突き落とされたどん底を歩いているような。
竹芝・浜松町近辺では外国人の姿も多かった。
あと、ゆりかもめはお台場に向かう人たちが多かったようだ。
フジテレビ近辺でカウントダウンイベントが行われるんだろうな。
家に帰り着いて、風呂を沸かして入る。
寒い布団に入るのもなんなので布団乾燥機をかける。
コンビニで買った焼き鳥を食べながら、缶ビールを飲む。
マイルス・デイヴィスのまだ聞いたことのないCDを封を破って聞く。
こんなこともあろうかと特別な時のためにとっておいたもの。
テレビをつける気にもなれず。ただぼんやりとジャズを聞く。
そんなこんなでいつのまにか0時を回っていて、僕は30歳になっていた。
缶ビールを飲み干すと布団に入って寝た。
身体的にも精神的にもこれと言って変化はなく、
いつも通りの疲れきった会社員としての夜がまた1つ過ぎていった。
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8時に起きて会社へと向かう。
今日の集合時間は10時。9時ごろ浜松町に着いて、時間があったので歩いて増上寺へ。
昨日「初詣」で検索したら名所として引っかかったので行ってみたくなった。
初詣なんて普段行く習慣がない。
小さいときには親に連れられて出かけたことがあったかもしれないが、
物心ついてからは記憶が全くない。
なので上京してからも行ったことがない。
というか毎年青森で年末年始を過ごしていて、僕の家は初詣に行く習慣がなかった。
増上寺の向こうには東京タワー。
昨日の大雪が嘘のように今日は青空が広がっていて、東京タワーがえらくかっこよく見える。
門をくぐって中に入る。
参拝客はまばらで、「ああそんなに来るもんじゃないんだな」と思う。
門の側に掲げられた大きな電光掲示板が時刻を表示していて、
ここでもカウントダウンの行事が行われたことが分かる。
それが一段楽して最初の参拝客の波が引けた辺りってとこか。
お賽銭を投げて、今年の願事を心の中で唱える。
「本が売れますように」まずはそれが1番。
2番目は「今年こそは女性にもてますように」
おみくじを引いてみると「吉」
「吉」って大吉→中吉→小吉→吉 ってことだから
「凶」1歩前か。ボーラインのかろうじてこっち側。がっくり。
↓のようなことが書かれていた。
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月かげの山のは近くかたむけば ほのぼのしらむ東のそら
こちらによくすれば あちらにわるく
右によくすれば左にわるく常に心の迷いあり
腹立やすい心を押えて利慾をすて
驕を戒しめれば人望まし利益を得ます
願事 二つの願を一度に叶えんとすればすればわるし
旅行 さわりなし
商売 吉大利なし
学問 努力すればよろし
恋愛 思い通りにならぬ
縁談 いろいろと心まようて時を失う
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当り障りなく無難だが、相変わらずそんないいことなさそうな年だった。
人垣ができていて、なんだろうと寄ってみると猿回しの芸をやっている。
ほんとなのかなんなのか「太郎次郎ファミリー」と札が立っていた。
竹馬をやったり、高跳びをしたり、芸を見ていると
「ああ正月なんだなあ」という気持ちになる。
境内にはたこ焼きやお好み焼きといった普通の屋台だけでなく、
近所の店なのか蒲鉾を売っている店があった。
揚げ立てを食べることができてこれがもうアツアツでおいしい。
新年早々おいしいものを食べることができて嬉しくなる。
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10時集合ということになっていたのに10分前に来たら誰もいなかった。
昨晩僕が人よりちょっと早く帰った後にもしかしたらプロジェクト延期の通達があって、
その連絡が僕のところまで届いてないのではないか。
みんな正突然月休みに入ったのではないか。
「チキショー!なんて正月だ、なんて誕生日だ!!」と憤慨する。
10時になってワラワラと人が集まり始めて
元旦だというのに黙々と作業が行われる。
昼になって、また増上寺に行って揚げ立ての蒲鉾を買って食べる。病み付きになる。
会社の人たちのためにお土産の分も買う。
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Yahoo の占いを見る限りでは山羊座の運勢は100点となっていて
1年の始まりとしては非常に景気いいのであるが、
なんだか普通に仕事して終わってしまいそう。
素晴らしい女性との出会いがあるらしいのだが、今20時の時点で特にその気配はなし。