ウルトラマンもの

先週、会社で仕事をしていたら
久々にオフィスに顔を出したシンタロウが僕のところに寄ってきて
「次の映画、ウルトラマンにしましょうよ!」と笑顔で言う。
ウルトラマンってなんだよ!?」
「とにかくウルトラマンなんですよ」


という話をこの前の日曜に映画を見た後でクリス君にしたところ
「じゃあ、こういうのどうですか」と提案される。


展開するとこんな感じ。

                                                                                                          • -

【主な登場人物】
女:20台半ばぐらいの女性
男:20台半ばぐらいの男性


【Scene1】
以下の映像を数秒ずつ切り替えていく。
ブレまくってピントもずれていて、
素人が撮影してニュースに採用されたかのような映像となること。
1. 逃げ惑う人々
2. 破壊された建物
3. ウルトラマンと怪物が戦っている
  (着ぐるみ着用となるか)


※怪獣の鳴き声のようなものが大音量でバックに流れていること。



【Scene2】
ニューススタジオ。(・・・を模したセットを作成する必要あり)
ニュースキャスター(男)
 「お昼のニュースです。本日、東京湾より現れた怪獣○○○○○が芝浦方面より上陸、
  地球防衛軍によるファーストアタックも虚しく、
  進路を北西にとって現在新宿方面に向かって移動中です」
ニュースキャスター(女)が怪獣の上陸ルートと予想される進路を記したフリップを手にしている。
ADがA4サイズの紙をニュースキャスター(女)にさっと手渡して消える。
ニュースキャスター(女)
 「ただ今届きました情報によりますと、さきほどウルトラマンが現場に到着、
  怪獣の×××××に苦戦したものの、最後は△△△△△△光線にてやっつけ・・・」



【Scene3】
男の部屋。男はベッドにうな垂れたように腰掛け、女は部屋の真ん中に立っている。


女「ねえ!どういうこと!?突然、なんでそんなこと言い出すの!?」
男「ごめん。もっと早く言えばよかったんだけど」
女、遮るように「どうして!?どうして!?どうして!!」
 (女、うずくまり、泣き崩れる)
 「・・・別れようなんて」


男、立ち上がって、ほんの一瞬、女を見下ろす。
手近の壁のところまで歩いていって壁にもたれかかる。
沈黙。


女、泣き続ける。
沈黙。


男、ぼそっと「・・・帰らなきゃならなくなったんだ」
沈黙。(女、泣き続ける)


男「もっと先のことだと思ってたんだけど、急に、今日の夜、帰らなければならなくなった」
沈黙。(女、泣き続ける)


女、顔を上げて、「どこへ・・・?」
男「M78星雲。・・・聞いたことあるだろ?」
女、何も言えず、ただ黙って男を見つめ続ける。
男「今まで黙ってたんだけど、実は、俺、ウルトラマンだったんだ」


女、立ち上がる。「何よ!それ、どういうこと!!」(激昂)
「嘘なら嘘で、なんでもっと普通のことが言えないの!?私のことバカにしてるの!?」
女、詰め寄る。男の服を引っ張る(ないしは男の上半身を思いっきり何度も叩く)。
ウルトラマン!?聞いて呆れるわ!!
 ・・・証拠はあるの?あるなら出しなさいよ!!見せてよ!!」


男「ごめん。いくら□□子のことが好きでも、地球人には秘密を見せちゃいけないことになってるんだ。
  それに地球上にいられる3分間の今日の分を、さっきの怪獣との戦いで使い果たしてしまった」


女、男の頬を平手打ち。泣きながら部屋を出て行く。


男は部屋の中にたった1人取り残される。
壁際を離れ、ベッドの上に腰を下ろす。
煙草を取り出して火をつける。


初代ウルトラマンのテーマ曲が背後でかすかに流れる。


(続く)