「ハチミツ」(準備稿④)

休日。デート。場所未定。
(にぎやかな場所にするか、静かな場所にするか。
 渋谷とか新宿とかいった街ではなくて、何らかの行楽地がいいだろう。
 今考えているのは葛西臨海公園


(A)と(B)が歩いている。クマも後ろに続く。


(A)と(B)ベンチに座る。一息つくような感じ。
(B)「今日はいるの?」
(A)「?」
(B)「クマちゃん」
(A)はクマのいる方を指差して、「ほら、すぐそこに」


(B)は立ち上がる。「どこ?」
(B)は「ここ?」と言って、何もない空中に触れる。(クマはそこにはいない)
(A)「そこじゃない。もっと右」
(B)は両手を右に。クマの体に触れる。が、その感触はない。
(B)「このあたり?」
(A)「そう、そこ」(クマに向かって)「挨拶でもしなよ」
クマはぴょこりとお辞儀をする。しかし(B)には見えない。
(B)はクマから離れて、ベンチに戻る。



(A)と(B)は観覧車に乗る。クマもその中に乗っている。


(A)と(B)が楽しそうに時間を過ごしているショット。クマもいる。
アイスを食べるとか、そういうシーン。


夕暮。
1日を過ごして疲れたような2人。
(A)と(B)ベンチに座る。
(B)「まだクマはいるの?」
(A)かったるそうに、「いるよ」
(B)「追い払えないの?」
(A)「追い払えるときと追い払えないときがある。今日は言うことを聞いてくれない」
(B)「どこ?」
(A)「そこ」とクマのいる場所を指差す。


(B)は立ち上がり、クマのいる場所に向かう。だいたい合っている場所に立つ。
(B)はクマに向かって、「ね、結局キミはなんなの?どうして(A)を困らせるの?」
クマは反応しない。ただ黙って立っている。
(B)は離れたところにいる(A)に向かって、「ねえ、何か言ってる?」
(A)離れたところにいる(B)に向かって、「いや、何も言ってない」
(B)は再度クマに向かい合う。「お願いだから、消えてくれない?・・・永久に。お願い」
クマは歩き出し、消える。
(B)は離れたところにいる(A)に向かって、「もしかしていなくなったりした?」
(A)離れたところにいる(B)に向かって、「どこか消えたよ」


(A)(B)2人だけで歩く。並んで。無言で。
どこか楽しくなさそうだ。