「天麩羅いもや」「勝慢」

(Gazz に書いたブログを加筆・修正したものです。
 このところ食べ物についてばかり書き込んでいた)



昨日の夜は天麩羅の「いもや」へ。
天麩羅の方は初めて入った。


神保町はカレーの町なだけでなく、「いもや」の町でもある。


・天丼のいもや
・天麩羅のいもや
・トンカツのいもや


どれも安くておいしい。庶民的。
こんなおいしいものがこんな安くていいのか!?
いっつも思う。ありえない!!
というか普通のその辺の店の方がおかしい。努力が足りないですよ。


食べたのは海老定食。
アツアツサクサク、口の中でぷちっとはじける海老が4匹。
あと、みつばと南瓜。これで800円は安い。


天丼もさあ、500円と安いのに「てんや」の100倍うまい。
ごま油で揚げられてて、とても香ばしい。素材の張りも違う。
(てんやは嫌いじゃなくて、実はよく食べてるんだけど。荻窪では)


上京したばかりの大学一年生の頃、
某所から奨学金を受け始めたら、そこに寄付している人から葉書が届いた。
年配の方だった。
(ランダムに、大学一年生に振り分けていたものと思われる)
「いもや」というところで天麩羅を揚げています、みたいな事が書かれていた。
僕が返事を書くと、そこから何回かやり取りが続いた。
いつか食べにいらっしゃいとあったんだけど、結局行かずじまいだった。
当時西部多摩湖線沿線に住んでいて、都心の神田・神保町方面は余りにも遠かった。
昨日揚げていた人が、実は13年前に僕に葉書を送った人かもしれなかった。


神保町にいる間にまた食べに行こう。

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今日、土曜も出社。(今年初というか、今PJ初)


昼は「普段行けないところに」と思い、淡路町まで足を伸ばす。
「勝慢」のカツ丼。
都内ではここがNo.1と推す人も多い。「dancyu」でも絶賛されていたようだ。


土曜だというのに、行列こそできていないものの満席。
僕が食べ終わった頃には外で待っている人もいた。


大カツ丼。1600円。(ちなみに普通のカツ丼はない)
大きなどんぶりにご飯大盛り、
その上に分厚い揚げたてロースが
とろっとした卵にからまってざくざくと乗っかっている。
なかなかうまかった。


「なかなか」と歯切れが悪いのは
僕にとってこれまでの人生でダントツにうまかった
カツ丼は吉祥寺のレンガ館の地下にあった「どん花」であって、
やはりこれには及ばないから。
(もうこの話は何回も書いてますね)


はまってた時期は毎週、欠かさず「どん花」のためだけに吉祥寺まで通ってた。
それぐらいうまかった。カツカレーもうまかった。
なのに、ご主人の体調が思わしくなく、
店を開けたり閉めたりを繰り返した末に、閉店してしまった。
(行っても閉まってたってことも何度かあった)


今となっては幻の味。


その後の僕はうまいカツ丼とカツカレーを求めて、
噂を伝え聞いては都内のあちこちの店に入ってみた。
そのたびに、「・・・違う」と感じた。
これって一生続くんだろうな、
もう2度とめぐり合わないのかもな、と最近思う。


上京して早13年。
心の底から「うまいっ!!」と唸ったのはこの3つ。
日本橋たいめいけん」のタンポポオムライス、カレーライス
・柏「ボンベイ」のボンベイカレー
・吉祥寺「どん花」のカツ丼、カツカレー


このうち、「ボンベイ」も「どん花」も健康上の理由で
店を閉めてしまった。
たいめいけん」はなくならないだろうけど、
3つのうち2つが幻となってしまったわけで、
僕としてはたまらなくさびしい。


もう一度食べられるなら、
カレー一皿10万円でも払いたい。
泣きながら食べると思う。


一生忘れられない、思い出の味。

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追記。


いつもそこにある、というのを当たり前に思っていて
「おいしいなあ」とニコニコして食べていたものが
ある日突然この世から消えてしまう。失われる。
これって怖いことだし、それ以上に悲しいことですよね。


替わりになるものを探そうとする試みが
僕の場合、いつのまにか日々の
「おいしいものを食べたい!」という欲求に進化ていった。
(なのでなんとなく、恨みを晴らすようなところがある。
 自分の自由にできるお金が増えて、本格化したとも言える。


小さな頃から毎日おいしいものを食べ慣れていて、
今でもおいしいものが普通に目の前に並ぶような
幸福な人ならば、こんなふうにならないだろうな。