オハイオ隊、遠征(その10)5/4シアーズ・タワーとユニオン駅

シアーズタワーから望むミシガン湖


やがて曲がるべき通りを見つけて、
しばらく歩いていたらすぐにもシアーズ・タワーが見つかった。
高い。さすがに高い。現在、世界第3位の高さ。
つい10年前までは世界一の高さを誇っていた。
(でも僕はもっともっと高いビルを想像していた・・・)
展望台「Skydeck」の入口を見つけて中に入る。
高いところ大好き。もちろん入りますよ。
いったん地下に下りて、空港のようなセキュリティチェックを受けて
金属の持込がないことを確認された後、カウンターでチケットを買う。11.95ドル。
いきなり展望台に上がるのかと思いきやそういうことはなく、しばらく待たされる。
次の回まで「14:23」といったようにカウントダウンの掲示板が。
両開きのドアが閉じられている。あの向こうにエレベーター?
なんだろう?とおとなしく待つ。
パラパラと人種も年代も様々なアメリカ人観光客のグループが「待合室」へ。
することもなく、行楽地に置かれているようなコインを入れて遊ぶのに群がる。
日本人の妻とアメリカ人の夫、妻の両親というグループを見かける。
国際結婚をした娘の新天地を一度見てみたいとして訪れたのだろう。


タワーの係員が入ってきて、何かを早口に告げる。
アメリカ人たちがドアの前に集まりだし、ベンチに座っていた僕らも立ち上がる。
ドアが開く。中に入る。
そこには、長いベンチと前方にスクリーン。
??まさか、展望台なんて物は何もなく、バーチャルな映像を見せられて終わり?
やがて音楽と共に映像が始まる。
題してシアーズ・タワーの歴史。
シカゴの発展していく様子を追った記録映像に続いて、
シアーズの社長?がタワー建造を思い立った経緯や
建築家がタワーの形を思いついたきっかけ
(ディナーパーティーで煙草をまとめて手にしていたら1本ぴょこんと飛び出て・・・)
を再現映像とし、今も生き残る当時の関係者のインタビューで構成。
工事現場の映像が続き、シアーズ・タワーは1974 年に完成する。


この後ようやく、エレベーターへ。103階という高さを瞬時に上り詰める。
地球の歩き方を見たら1分って書いてあったけど、体感時間は10秒だった)


そして広がるパノラマ・・・


・・・すげえよ!!
目の前に五大湖のうちの1つミシガン湖が広がってるんだけど、
これがまた大きいなんてもんじゃない。まるで海。目の前水平線。
最初、なぜか「太平洋?」って思ってしまった。
光景としては今回の旅行でベスト。ダントツで。
「こんな壮大な眺めを見るためには
 こんな高いところに上らなきゃいけないんだなあ」
なーんて思った。素直に感心した。
こんなでかい湖のほとりで暮らしているのなら、
対抗したくて高いビルを建てたくなるのもなんだかよくわかる。
足元には林立する摩天楼ってのもたまらない。
でも全然シアーズ・タワーの高さに足りてなくて子供みたいなんだよね。
いやー、とにかくすごいよ。グレート。アメリカバンザイ。


シカゴ土産の絵葉書を4枚買って、1.76ドル。
3枚はモノクロの渋いヤツ。


下りのエレベーターを待つスペースには
詩人 Carl Sandburg による次の言葉が大きく書かれていた。
「Show me another city so glad to be alive」


どこの国も同じようなもんで、出口の手前にはお土産屋。
シカゴ版モノポリーなんてものを見つける。
あとはひたすらシカゴ・ホワイトソックスシカゴ・ブルズのグッズ。
ジュンコとタクはアル・カポネグッズないかなあと探す。


シアーズ・タワーを出て、次に向かうはユニオン駅。
アンタッチャブル」に出てくる階段での銃撃のシーンの舞台が、ここ。
川を渡り、少しばかり歩く。裏口らしきものを見つけて恐る恐る入ってみる。
これがまた、バカデカイ。天井がやたら高く、長方形の劇場のよう。
(モロッコカサブランカで見た、ハッサン2世モスクの広間のミニチュアのよう)
負けず劣らず大きな星条旗が天井から下げられている。
例の階段は割と小さく、地味。
大理石なのかな、ゴージャスなようでいて歩いてみると段が微妙に歪んでいる。
駅という割に人はほとんどいなくて、観光客だけだった。
実際のホームに当たる部分は奥のほうにあって、そちらは市民たちでにぎわっていた。
帰りに別な通りを歩いていたら、
駅の地下入口に通じる階段があって、そこに大勢の人が吸い込まれていた。


時間もなくなってきて、地下鉄の駅に戻る。
夕暮のシカゴ。
川面に映る様々な形をしたビルの姿が美しい。奇抜なデザインを競い合っている。
あるいは、ビルの窓ガラスに反射する強いオレンジ色の光。
(ビルは黒い色をしていたものが多かったように思う)


繁華街の店は閉まるのが早いようで、
先ほど来るときに通りがかった店もその多くが閉店していた。
特に食べ物系。19時にはディナーの時間が終わってしまう。


地下鉄の駅まで無事に戻ってくる。
ブルーラインに乗って、空港へ。席が埋まっていて最初のうち、座れない。
路線図を眺める。シカゴの地下鉄は通りの名前をそのまま駅名にするそうで、
そのせいか同じ名前の駅がいくつかある。ハーレムとか、カリフォルニアとか。
同じ路線なのに、始点と終点とがコの字型になっていると、やはり同じ駅名が出てくる。
紛らわしくないのだろうか?気になった。


半ばを過ぎて席が空いて、座り込む。
日の沈む寸前のシカゴ。斜めに差し込んでくる盛りを過ぎた日差し。


シカゴの印象:
色褪せたレンガ。錆付きかけた剥き出しの鉄骨。
街全体がくすんだ色をしているのに、なんだかほんのり温かい。
無口なのに、何かを語っている。語るべき何かがある。