東京消防庁音楽隊の「金曜コンサート」

昨日の昼。午後の客先での打ち合わせの前に時間ができて
日比谷公園で暇をつぶすことにする。
ベンチで本でも読もうとしたら
いきなり大きな音が聞こえてきて、演奏が始まった。
とにかく派手なドラムロールというかソロ。
なんだなんだ?と思って音のする方に目をやったら
看板に「金曜コンサート」の文字が。
小さな野外音楽堂でブラスバンドが演奏している。


妙に聞き覚えあるメロディだなあと記憶を辿ると、
なんと!
Emerson, Lake & Palmer 「悪の経典 #9」(Karn Evil #9)ではないか!


思わず立ち上がり、音楽堂へとフラフラと足が向かう。掲示を見る。
演奏するは、さらになんと、「東京消防庁音楽隊」


しかも女性団員による旗を振る演技(?)あり。
東京消防庁カラーガーズ」というらしい。


な、なんなのだ?これは。
平日の真昼間。
周りは浮浪者であるとか、昼休みを過ごすサラリーマンであるとか、
建設現場で働く人たちであるとか、
「金曜コンサート」のファンと思われるおじさんやおばさんであるとか。


この日のコンサートは映画音楽特集ってことで
そこから先は「海の上のピアニスト」の楽曲を
何事もなかったかのように演奏した。


思いっきりシュールなものを見た。


わからない人には何のことかわからないですけど、
東京都の消防庁の音楽隊が ELP ですよ!?
すごい時代になったもんだ。


配ってた曲目を書き写します。
1.「ムーンリバー」 ヘンリー・マンシーニ作曲
2.「ララのテーマ」 モーリス・ジャール作曲
3.「慕情」 サミー・フェイン作曲
4.ゴッドファーザー PartⅡより「愛は誰の手に」 ニーノ・ロータ作曲
5.「ある愛の詩」 フランシス・レイ作曲
6.「カーンイービル・9(ナイン)」 キース・エマーソン作曲 ※曲名は原文のまま
7.「海を越える握手」 スーザ作曲
8.「海の上のピアニスト」より エンニオ・モリコーネ作曲
9.白雪姫より「ハイホー」 フランク・チャーチル作曲
10.「栄光への脱出」 アーネスト・ゴールド作曲


ニーノ・ロータエンニオ・モリコーネ錚々たる名前が並ぶ。
眺めてみるとキース・エマーソン
ヘンリー・マンシーニフランシス・レイと同列のムード音楽の巨匠であるかのよう。
ありえない・・・
いつのまにスタンダードになったんだ!?


派手な衣装に身を包んで旗を振ってた若い女性たちは
鍵盤にナイフを突き立ててたキース・エマーソンであるとか、
King Crimsonグレッグ・レイクであるとか
知っててやってたのだろうか!?
知るわけないよな・・・

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ってなわけで。上が mixi に書いたのを手直ししたものですが。
若干茶化し気味に書いたものの、その後興味を持って
東京消防庁音楽隊」と「東京消防庁カラーガーズ」について調べてみた。


東京消防庁音楽隊」
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/ts/band/index.html
http://www.bousaihaku.com/cgi-bin/hp/index.cgi?ac1=R102&ac2=R10205&ac3=883&Page=hpd_view
僕はてっきり、消防署で働く人たちが趣味でやってる楽隊だと思っていた。
腕に覚えのある人たちが集まって、余暇の時間に練習するようなアマチュア楽団。
違うんですね。
Wikipediaを参照すると、隊員のほとんどが音楽大学を出て、その後消防学校を経て、
というふうに説明がなされている。消防活動と兼務の人もいれば、選任の人もいる。
そういう意味では本職としての音楽隊。
各地でのパレードやコンサートや施設訪問などあれこれ活動している。
いや、ほんと、知らなかった。
市井の庶民派楽団ってとこか。


東京消防庁カラーガーズ隊」
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/ts/band/gards/gards.html
消防署で勤務する女性職員により構成、
「キャピタル東京ファイヤーバード119」の愛称で親しまれる、とある。
あまり情報がないんだけど、小さいときにたまたまその演技に触れて、憧れて、
大人になって自分でもやってみたくなった、という人が多いのかな。


「金曜コンサート」は都民のために無料で行なわれている。
そういう活動が行なわれていることを僕は知らなかった。
昨日は時間がなくて全部で10分も聞いていなかったけど、
そのうち機会があったら、またちゃんと聞いてみようと思う。