北朝鮮への経済制裁から思ったこと

北朝鮮が核実験を行い、その経済制裁の一環として
北朝鮮船籍の船舶に対し日本での入港が禁止された。
ニュースを見ていたら北朝鮮の船は主に
日本に海産物(ズワイガニ・ウニなど)を運んできて輸入業者に売り払い、
帰りはリサイクル業者から中古の自転車や家電を購入して北朝鮮へと運ぶ、
ということを行っていたようだ。


僕が見たニュースでは
北朝鮮籍の船が最も停泊していた鳥取の境港が取り上げられていた。
その地域のリサイクル業者はこれまで主な取引先を北朝鮮としていたので、
大きな打撃となるという。


家電・AV機器・自転車、などなど。
新製品は次々と市場に投入され、別に人生1度の大きな買い物でも何でもないから
日本人は割りと頻繁に買い換える。
いらなくなったものは友人・知人に売ったりあげたり、粗大ゴミとして出したり、
リサイクル業者に二束三文で売り払う、あるいは引き取ってもらう。
これって膨大な量になる。
一部は文字通りリサイクルされるし、
分解されて部品だけが再利用されることもあるだろう。
粉砕されて産業廃棄物となることもあれば、
業者が引き取って海外の経済的に豊かじゃない地域に売り飛ばすこともある。
何がどれだけ排出されて、どういうルートを辿って
最終的にどうなるかを追ってみたら気の遠くなることになるだろう。
普通に暮らしている日本人は恐らく、その詳細を知ることはない。
知らなくても十分暮らしていける。目を向けなくてもいい。


土日の荻窪のアパートの部屋の中にいると
頻繁にリサイクル業者のトラックが通り過ぎる。
この一帯にどれだけの数の業者がいるのだろう?と不思議に思う。
家電だったらなんでもいいという業者もあれば、時々バイク専門の業者もあったりする。
あれだけいて商売が成り立ってるのだから、
やり取りされる物品の量がそもそも多いということになる。
一度ミニコンポを引き取ってもらったら
交換にトイレットペーパーを一巻きくれたのかな。
聞いてみたら中国へと運ぶのだと言う。


朝早く起きて歩いていると、古新聞を回収する無許可の業者が争ってトラックを走らせてる。
ありとあらゆる入り組んだ路地を走査するように。
区の指定する回収業者、あるいは同業のライバルに先んじようと。
縄張り争いもあるかもしれない。
区が許可していない業者が持ち去ることのないよう、
資源ごみは朝の決められた時間に出しましょうと貼り紙がされているのを見かけたことがある。
もちろん僕みたいな会社員は一日中家にいるわけではないのだから、そんなの守れるわけがない。
前の晩に出してしまう。
それが誰だろうと、無認可だろうとなかろうと出したゴミを持ってってくれるのだから
僕なんかからすると全然構わない。


日本から日々排出される数々の資源ゴミ(家電・AV機器・自転車)
これらを引き取ってくれる先が1つ減ったわけだ。
これって表立って問題になることはないだろうけど、
どれだけのインパクトを与えるものなのだろう?
中国やロシアならこれまで通り引き取ってくれる?
北朝鮮だからこそ受け入れてもらえたものだってあるだろう。
経済的に豊かになった中国は何年か先、
「この程度のものならいらない」と言い出すかもしれない。
そのとき日本の資源ゴミの引き受け手はなくなってるのかも。
それはどこに行くのだろう?
アフリカ?
わざわざ船で?


こういうことをちょっと考えてみたとき、この世界は複雑だ、
様々な物事が複雑に絡み合っていて微妙なバランスで成り立っていて、
そのバランスは刻一刻と変化していく、そんなふうに思わざるを得ない。

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地上波がデジタル化する2011年にはテレビのゴミが最大限に増えるものと思われる。
そのとき、テレビを中心に買い上げるか回収して回ってどっかの国に大量に売りつける、
そういうビジネスを今から準備しておくと儲かるかな。
ものすごい量のテレビが捨てられてることになると思うんだけど。
意外と家庭に眠っている、あるいはいまだ現役で使われている。


ペンションやビジネスホテルなんて全室テレビを買い換えなくてはならない。
この出費が相当な痛手だとニュースで語られていたようだ。