日本で初めてコンビニで・・・

IT業界にいてこれまでの経歴で何か自慢できることはないか?
ということを記憶の中から探してみた。
・・・あった。あるよ。なくもないんですよ、僕。


思い違いなのかもしれないけど、その可能性は否定できないんだけど、
僕はたぶん日本で初めて、コンビニ決済というやつ、
ECサイトでの注文の支払いを店頭で行なった人間であり、
その何ヶ月か後には、同じく日本で初めて商品の受け取りも行なっている。
ちょうど2000年のこと。
まあただ単にシステムテストの一環なのですが。
その当時僕は入社1年目・2年目という小僧の時期で
「ちょっとお使いに行ってきてくれ」という感覚で
接続先のECサイトにて自腹で商品を注文して、
次の日だったかその次の日だったか、実験用の店舗まで、
電車に乗って駅で降りて、トコトコと商品の支払いに出かけた。


当時はコンビニでお金が支払えて何が嬉しいのだろう?と不思議でしょうがなかった。
ECサイトで商品を買う、というとき既にクレジットカードの引き落としや
宅急便で商品を受け取るときに代引きという手段があった。
システム的には面倒かもしれないが銀行や郵便局でも振り込みというのも可能だ。
何をわざわざコンビニまで払いに行かなきゃならないのだろう?と。
でも今、ECサイトを構築するに当たって
決済手段としてコンビニ収納代行は欠かせないですよね。
例えばデフォルトの決済手段として口座引き落としを選んでいたエンドユーザーに対して
請求が発生したのに、その口座が停止になっていた場合。
コンビニ決済に振り替えてエンドユーザーに支払いを求めるとか。
こんなふうに当たり前になっていくとは思ってもみなかった。


その一方でECサイトで購入した商品をコンビニで受け取る、というのは便利だと思った。
1人暮らしの会社員だと平日受け取ることができない。
土日も出社するかも?みたいに忙しい時期だと
再配達の受け取りのために休みの日に部屋の中で半日待ってるということもできない。
これは自分をエンドユーザーに置き換えたとき、「世の中便利になるなあ」と確信した。
今思うとそういう「ITで世の中をより良く変えていくこと」にこの僕も関わっていたのですね。
(その後関係したシステム開発も多かれ少なかれ広い意味では
「ITで世の中をより良く変えていくこと」になるんだろうけど、
 これだけの規模の社会的インパクトを与える仕組って意味ではこれが群を抜いている)


そのコンビニ受け取りも
ECサイトで注文するときに配送方法を宅急便かコンビニか選べるだけではなく、
宅急便を選んだときにその再配達をコンビニで行なえるようにまで進化している。
(以前どこかで書いたように思うが、その仕組を開発するのって絶対大変だったと思う)
ITを実現する上での社会的インフラとして携帯とコンビニの進化のスピードのめまぐるしさ。
振り返ってみて、この10年でできるようになったことを数え上げてみると
どれもこれも「それってすごいことなんじゃないか?」というものばかり。
20年前には思ってもみなかったことが次々に実現されている。


そんなわけで、「プロジェクトX」的な番組で
コンビニ決済やコンビニ物流がテーマに取り上げられるならば、
この僕も登場することになると思う。
「岡村は店舗の隅にあった情報端末を操作して、
 バーコードの印刷された紙をプリントアウトしてカウンターまで持っていった。
 店員が受け取ってカウンターの中を探した。
 あった!岡村が注文した商品が届いていた!!
 この瞬間、このPJに携わった多くの人間の苦労が実を結んだわけである」


でも、そのときの僕は何の感慨もなく、ボケーッと1人で店で受け取って
そのまま帰って来るという淡々としたものだったんですけどね。
ある意味歴史的瞬間のはずだったのに、誰も自分がやりたいと言い出すことはなく。
一番若かった僕に役割が回ってきた、というだけ。
世の中の多くの物事が、意外とそういうものなのかもしれない。