ニューヨーク その12(5月31日)

okmrtyhk2008-06-10


メトロの1週間フリーパスをまずは買う。25ドル。
GCTから地下鉄の?号線(各駅)に乗り変えて、「86ST」で下りる。
アヴェニューをいくつか渡って、セントラル・パークの中に入る。
雨は降りそうにないし、しばらく中を歩いてみよう、となる。


同期は去年後半からニューヨークで暮らしているとは言え、
セントラル・パークは初めてだったようだ。
メトロポリタン美術館も入ったことがない。
そんなもんなのかな。そんなもんなんだろうな。
転勤で東京に住むことになって、
わざわざ休みの日に東京タワー上ってみようとするかといったら
そんなこと普通しないのと一緒か。ちょっと違うか。
なんにせよいつでも行けるとなると人は何事も後回しにしてしまうものである。


中心部の大きな貯水池
(ジャクリーン・ケネディ・オナシス・レザボア。すごい名前だ)の南端を歩く。
土曜ということもあって、ジョギングをしている人が多い。ハンパなく多い。
いつのまにか僕らはランニングコースを歩いていて、
「観光客はジャマ」っていうトゲトゲした雰囲気を感じた。
ジョギングパンツを履いて、皆、池を反時計回りに黙々と走っている。
腕に計測器みたいなのを巻いている人もちらほらと見かける。
気軽に走ってる人もいれば、鬼気迫る感じで
「健康」とか「エクササイズ」という言葉にとりつかれたかのような人もいる。
引き締まった体をした人もいれば、そうでもない人もいる。
中には走り終えた後、ダイエットコークをフルサイズで飲む人だっているだろう。
ヘルメットをかぶり、競技用の自転車に乗っている人も多い。
マンハッタンでは街中で自転車に乗っている人ってなかなか見かけない。
交通手段ではなくてあれはあくまでスポーツ用の器具なのだろう。
地下鉄とバスがあれだけ普及していればわざわざ自転車に乗って人にぶつかる必要はない。
郊外で子供たちが乗るぐらいなのだろう。
自転車に乗ってるのを見かけたのはこことブルックリン・ブリッジだけだった。


地球の歩き方」を見ながらウロウロしてうちに、
「ストロベリー・フィールズ」を見てみたいと僕は言い出す。
セントラル・パークの 72st 付近の出口を出たすぐのところに
70年代にニューヨークに移住してからのジョン・レノンオノ・ヨーコと共に住んでいた
「ダコタ・アパート」があって、その前でマーク・チャップマンジョン・レノンを銃殺。
その後、ビートルズの代表曲「Strawberry Fields Forever」にちなんで作られた広場。
現地旅行会社の半日観光・終日観光のコースによく取り入れられている。
10代にビートルズを聞いていた人間として、これはやはり見ておきたいですよね。
(今調べてみたら Wikipedia に、マーク・チャップマンは今年10月に仮釈放の予定、とあった)


そんで探しながら歩くんだけど、このセントラル・パークってのがやたら広い。
横はそんなことないんだけど縦は長く、
道はウネウネと曲がりくねっていて目的地に行き着くのがどうにも難しい。
あちこちに地図の掲示がなされているんだけど、日本と違って現在地の表示がない。
自分がどこにいるのか全く分からない。これでも先進国なのか・・・
本当に知りたかったら GPS 付の携帯で自分の居場所を調べるしかない?
途方にくれながらトボトボ歩いているうちにレンタル・バイクを見つける。
1時間9ドルで「いいじゃん」と2人して借りて乗る。
とりあえず貯水池をぐるっと、パークの北半分を回ってみることにする。
自転車を漕ぐ。どんどんスピードを上げる。下り坂に差し掛かってシャーッと滑っていく。
これがたまらなく気持ちいい。
時間があってのんびりセントラル・パークを楽しめる人にはこれ、お薦めします。
だけどこれ、自転車がアメリカ仕様ってこうなのか、
ハンドブレーキじゃなくてペダルを逆回転するとブレーキがかかるというもの。
慣れないととても怖い。
特に僕、自転車乗って坂道を下るときとか
意味もなくペダルを逆回転させる癖があるから注意が必要だった。


競技用自転車に乗った人たちがサーッと追い越していく。
だけど僕らはのんびりと、しかしそれなりにスピードを出して漕いでいく。
貯水池を半分回った辺りで雨がポツポツと降り出す。
しかし引き返すにも引き返せないところまで来てしまったのでそのまま進み続ける。
しばらくしたらやんで、ほっとする。


ぐるっとセントラルパーク北側を回って、ストロベリー・フィールズを探す。
地図を見るとすぐ近くまで来ているはずなのだが、見つからない。
この場所だと恐らく「ベセスダの噴水」が隣のはず、と試しに行ってみると確かにあった。
なので現在地が分からないわけではない。
一度、72stの出口まで行ってみる。
(その時気付かなかったが、ダコタ・アパートはすぐ目の前にあった。
 その日の夜、「そう言えばダコタ・アパートってあの近くにあったんだよね」って話になって
 え?そうだったの?だったら見ておけばよかった・・・、と残念がる。後日改めて見に行った)
この間のどこかにある。延々探し回った末に、
このストロベリー・フィールズってのは道路に面してるのではないということを知る。
林の中の小道を自転車を押して進んでいくと、小さな丘の上にそれはあった。
驚くぐらいに小さい。
地面に埋められた円形のモニュメント。真ん中に「IMAGINE」と書かれているだけ。
その周りが柵で囲まれている。たったこれだけ。
花束が捧げられているとか、レコードのジャケットや
ジョン・レノンの写真が飾られているとか、そういうのはなし。
かろうじて、周りに並んだベンチの背後の柵に花束が1つ結わえ付けられていた。


自転車を返す時間になって、レンタル・バイクを探す。
現在地は分かるが、今度はその店がどこだったか分からなくなる。
あれこれ試行錯誤しているうちにどうにか超過料金無しに返すことができた。
時間がなくてセントラル・パークと言えば思い浮かぶ、
周りをビルに囲まれただだっ広い芝生の公園(新宿御苑のよう)、「シープ・メドウ」は今回諦める。
これもまた、後日再訪することになる。


この頃から大雨。同期が傘を持ってきていたので入れてもらう。
メトロポリタン美術館の入口を探す。
メトロポリタン美術館そのものはセントラルパークの中、真ん中の東の端に位置する。