最後に、31位から50位まで。

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31.「地獄の黙示録」(1979年 / 監督:フランシス・フォード・コッポラ / アメリカ)


あれこれ詰め込みすぎて破綻しているところが、何よりもいい。
監督自身制御しきれなくなって、混沌としてて。
川を上るにつれていろんなシーンが出てくるけど、
例えばヘリコプターで女性の歌手が下りてきてショーが始まるとか、
ああいうのってメタファーなのかただの即物的な戦場のイメージなのか。
ヘリコプター部隊がナパーム弾を投下する場面に「ワルキューレの騎行」が流れるのは、
2001年宇宙の旅」で「美しき青きドナウ」が流れるのと同じぐらい、かっこいい。
(戦争を美化するわけではないですが・・・)
川を遡っていくうちに狂気に浸されていくサーファーも素晴らしいが、
ロバート・デュバル扮する部隊長が大好き。
とにかくテンション高く途切れなく喋り続け。怪我して地面に横たわっている兵士を見つけて
「よくぞはらわたが出るまで頑張った。オマエにはオレの水を飲ませてやる」
と水筒を取り出したるのだが、「隊長、例のサーファーが到着しました」と伝令を受けた途端、
コロッと兵士のことを忘れて歩き出し、波の話をしだす。
いるよね、こういう人。

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34.「動くな、死ね、甦れ!」(1989年 / 監督:ヴィターリー・カネフスキー / ソ連


その後カネフスキーってどうしてんだろう?
「ぼくら、20世紀の子供たち」の後。
Wikipediaで調べてみたら「Kto Bolche」っていうのを99年に監督してるみたいだけど。
日本ではたぶん未公開で、そこから先10年近く音信普通。高齢だしな・・・
話変わるが、90年代前半、同じ頃日本でも話題になった
アレクサンドル・ソクーロフ監督については個人的には全然受け付けない。

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35.「ブレードランナー」(1982年 / 監督:リドリー・スコット / アメリカ)


前にもどこかで書いたように思うが、
リドリー・スコットは「ブレードランナー」と「エイリアン」で記憶されるべき監督だ。
テルマ&ルイーズ」ならオーケー。
でも、決して「ハンニバル」や「グラディエイター」ではない。
あの豪華絢爛な映像はまるで別人。同じ名前の別人なんじゃないかと。
ブレードランナー」も「エイリアン」も金がないから、薄暗くてどこかしけった映像になって、
チープなガジェットだらけになったのが逆によかったんじゃないかと。
中学・高校の頃、「ブレードランナー」が大好きだった。
強力わかもと」の広告が輝く未来都市の雰囲気もよかったけど、
そもそも「ブレードランナー」を知ってるっていうのがかっこいいことに思えた。
ちょっと背伸びした、大人のサブカルチャーの匂いを感じ取ったのだろう。
ウィリアム・バロウズに偶然出会った頃で、やはり同名の「ブレードランナー」って作品があったり。

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37.「ソフィーの選択」(1982年 / 監督:アラン・J・パクラ / アメリカ)


メリル・ストリープが一世一代の名演技を見せる。
ナチのホロコーストを生き延びた女性がアメリカの地で選んだ最愛の男性とは?
僕がこれまでに見てきた映画の中では、最も悲しいストーリーの作品。

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39.「リトアニアへの旅の追憶」(1972年 / 監督:ジョナス・メカス / アメリカ)


これもDVDにならないねえ。残念だ。
16mm の録画ボタンをカチャカチャすることで細切れにされる日常。
なんてことない風景のはずなのに「映画」として成立してしまうのはジョナス・メカスだけ?
僕なんかがやっても全然普通、というかつまらない切れ端にしかならないんだろうな。
リトアニアの村での輪舞のシーンが、踊りのテンポと録画ボタンのカチャカチャがシンクロして
他の映画では決して見ることの出来ない美しいものになっている。
またいつかどこかで見たいものだ。

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41.「スィート・ムーヴィー」(1974年 / 監督:ドゥシャン・マカヴェイエフ / 旧ユーゴスラビア


学生時代、新宿の TSUTAYA で VHS を見つけて、借りた。
これはさすがに DVD 化されないだろうなあ。されたら絶対買う。
諧謔精神の固まりのような作品。この世に存在するあらゆるものに対して反旗を翻す。
とりとめもなくエピソードが連なっていって、
最後、かわいい女の子がチョコレートの浴槽の中に放り込まれてチョコレートまみれになるんですよ。
それを見てグヘヘと笑ってる中年の親父。「監督」役だったか。
だから、スィート・ムーヴィー。皮肉以外の何物でもない。

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43.「ワイルドバンチ」(1969年 / 監督:サム・ペキンパー / アメリカ)


男なら、あの4人が歩いてる姿だけでぐっと来るよね。
もう、それだけ。
あと、最後の銃撃の場面の破格のカタルシス
男たちだけで誰かの家に集まってウィスキー飲みながら見る映画として、最高峰。