Sonic Youth 「the eternal - sonik tooth box」

Sonic Youth の最新作「the eternal」が発売されたので、即買いに行く。
しかも今回はボックスセットも出るということで、これは今買い逃すと2度と出会えないかもと。


・メジャーのゲフィンを離れ、Matadorに移籍
・前々作で脱退したジム・オルークに替わって、元Pavementのマーク・イボルドが参加
・プロデューサーは前作「Rather Ripped」に引き続き、ジョン・アニェッロが担当
・ジャケットの印象的な絵は、ブルース・ギターの民俗学者、故ジョン・フェイヒーによるもの
・「永遠」というタイトルが示唆的


といったところが話題となるだろうか。
新作もまた「さすが Sonic Youth」と言わしめる出来。
いや、ここ数作、上っ面の部分を除けば曲やサウンドの構造は何も変わっていないと思う。
だけどそれが彼方、不動の極点から鳴り響くように僕には聞こえて。
それ以上先のない、行き着いた地点から時折届く、写真入りの分厚い手書きの手紙のよう。
Sonic Youth はロックというジャンルの音楽で
最深部まで辿り着いたグループの、数少ない生き残りだ。
このバンドを信頼できなくて、他に何を聴くべきか?


ボックスセットにはTシャツと「Sonic Death '09」という名の、
写真と書き殴りのイラストや言葉だけのモノクロのファンジンが付いてくる。
そしてボーナスディスクとして「Live atBattery Park '08」というライブアルバム。
これがとてつもなく素晴らしい。
近年の Sonic Youth の中ではベストじゃないか?
緊迫感、リアル、ノイズ。
金属的なギター、脅迫的なリズム。
性急で焦燥感に満ち満ちた音。乾ききった、絶対零度
Sonic Youth の最良の部分がここにある。


曲目を挙げる。カッコ内はオリジナルのアルバム。
01.「She is not Alone」 (Sonic Youth '82)
02.「The Sprawl」 (Daydream Nation '88)
03.「World Looks Red」 (Sonic Youth '82)
04.「Jams Run Free」 (Rather Ripped '06)
05.「Hey Joni」 (Daydream Nation '88)
06.「Silver Rocket」 (Daydream Nation '88)
07.「The Wonder」 (Daydream Nation '88)
08.「Hyperstation」 (Daydream Nation '88)
09.「Bull in the Heather」 (Experimental Jet Set, Trash and No Star '94)
10.「100%」 (Dirty '92)
11.「Making the Nature Scene」 (Confusion Is Sex '83)


最近の Sonic Youth のセットリストが普通どんななのか、正直僕はよく分かってない。
しかし、このライブが特別な位置付けのものだったことは想像に難くない。
昔からのファンだったらこの選曲、唸らざるを得ない。
前作「Rather Ripped」からの曲が1曲ありつつも、
最重要作「Daydream」の曲が中心となり、
「Dirty」「Experimental ...」といった中期の代表作のナンバーも織り込まれる。
そしてファーストの曲で始まって、セカンドの曲で終わる、挟まれるという構成が泣ける。
必聴。このライブアルバムのためだけに6,980円払っても高くない。


続ければ続けるほど、彼らの原点である「No Wave」へと近付いていく。
どんどんいろいろなものを削ぎ落としていけばいくほど、深まり、高まっていく。