スペイン一人旅 その11(7/25:真の芸術家とは)

okmrtyhk2009-08-10


4階へ。抽象芸術の部屋、モダニズムの終焉の部屋など。
4階の半分と3階は企画展の会場となっていて、
僕がパンフレットを集めたものとして6つ開催されていた。


4階で良かったのは、The Atlas Group (1989-2004) の実験的な写真。
これは次の日知ったんだけど、「Photo Espana 2009」という
現代アートとしての写真のお祭りがこの時期開催されていて、
マドリード各地に会場が散らばっている中で、
ここソフィア王妃芸術センターの一角もまた会場に充てられていたというわけだ。
この The Atlas Group (1989-2004) とはベイルートに生まれた Walid Raad による、
1975年から1990年にかけてのレバノンの記録を残すためのプロジェクト。
http://www.theatlasgroup.org/
写真のコラージュ、写真の上になされたペインティングなど。
絵葉書をモチーフに、何気ない日常風景とその裏に簡単な文章を記載した連作
(表と裏で2枚セットで並べられている)と、
海をイメージして、クリアな(幾種類もの)青で塗られた大きなスペースの下に
小さく人々の映った記念写真という組み合わせの「Secrets in the Open Sea」という連作がよかった。


3階はパンダの着ぐるみの映像がシュールだった
Peter Fischli / David Weiss による「Are Animal People ?」
You Tubeに僕が見た、呼吸するパンダとカワウソ?の寝てるぬいぐるみの映像があった。
http://www.youtube.com/watch?v=PCHXvT3Skmg


そしてもう1つ、僕自身は全く好きになれないけど
嫌でもインパクトを残した Juan Munoz の「Retrospective」
名前の通り、回顧展なのだろう。スペインの彫刻家。
気になる人は「Juan Munoz」で画像検索してみてください。正にこんな感じ。
ニヤニヤ笑ってるハゲの小男やドワーフたちの彫像が無限増殖したかのように並んでいる。
それが鏡を見ていたり、壁に映し出される自らの影を見つめていたり、空間の使い方が非常にうまい。
悪夢をそのまま現実世界に持ち込んで具体化したかのよう。
気持ち悪いと思いながらも気になって何枚も写真に撮ってしまった。
それがまた、素人の僕が撮っても絵になってしまうから怖い。
こういう人が、真の力を持った芸術家なのかもしれない。


4階から、新館(そのうちオープンするのだろうか?)への連絡通路が伸びていて、
ベンチがあったりして、ちょっとした休憩用の空間となっている。
真夏のこんな暑い日々でなければ居心地よさそうだった。
4階という高さからはマドリード市街も眺められるし。


1階に戻って、ミュージアムショップで買ったもの:
・日本語のガイドブック 22ユーロ(高い!80作品に厳選して、紹介)
ロバート・キャパの写真集 11.5ユーロ(たまたま目に留まって、とても欲しくなった)
マン・レイの写真の絵葉書 1ユーロ


美術館から外に出て、地下鉄に乗る。
先ほど聞いた郵便局まで行ってみようと考える。
「Atocha」駅から「Sol」駅まで戻って、2号線に乗り換えて2つ目の「Bacco de Espana」駅で下りる。
ここは日本で言ったら霞ヶ関みたいなところなのだろうか。
駅名そのままにスペイン銀行の本店があって、中央郵便局がある。
立ち並ぶビルは大きくというか恰幅がよく、物々しい。
観光客の姿は少なく、閑散としている。
これがその中央郵便局だろうというビルに行ってみたら、閉まっていた。
土曜の午後だからだろうか?
通りを隔てて小さな公園があって、
うまい具合にインフォメーション・センターがあってそこで聞いてみる。
プエルタ・デル・ソル内の「エル・コスタ・イングレス」という大きなデパートの
地下2Fに郵便局(Correos)があって、こっちは今日だと22時までやってると。
地図に書き込んで渡してくれる。
感じのいい女性の方で、「どこから来たの?」と気さくに話しかけてくる。


絵葉書の目処が着いてホッとする。キオスクでコーラを買って飲む。1.2ユーロだったか。
これがまた冷えてるを通り越して凍ってて、
なおかつリングプルもうまく開かないまま外れてしまって絶体絶命。
かろうじて開いた穴からコーラが泡となって吹き出る。
仕方なく缶をつぶして中身を押し出して液体化した泡を飲む。


地下鉄に乗って、「Sol」駅に戻る。
「エル・コスタ・イングレス」を探す。すぐにも見つかる。
地下2階に行ってみたら駐車場だった。本当にあるのだろうか?と不安に思う。
しかし、見ると「Correos →」と掲示があって、その先にちゃんと郵便局があった。
切手代は日本宛であっても、0.78ユーロ。安い。100円ぐらい。
どの国に行っても日本宛の郵便って安いんだけど、どういう仕組みなのだろうといつも不思議に思う。


コーラでベトついた手を洗いたいとトイレを探して一番上の階まで行ってみるんだけど、なぜかない。
ヨーロッパのデパートってそういうものなのかもしれないと考える。
外に出て、別館が家電用品とCDやDVDとなっていてフラッと入ってみる。
これと言って欲しいCDはない。日本でも買えそうなものばかり。
フロアの案内を見たら最上階にトイレがあるようなのでエレベーターに乗って行ってみる。
ダンスミュージックのコーナーで、アナログがたくさん壁に並んでいた。
Prodigyの新作やスペインのDJによる音源など。
CDはマドンナに始まり、ユーロビートっぽい安っぽいコンピがたくさん売られていた。


通りではチェレスタの2人とアコーディオン1人による演奏が大勢の人を集めていた。
熱気を帯びた演奏。激しく叩きまくる。とてもうまかった。
チェレスタは50代ぐらいのおっさんと、20代の若者で、恐らく親子なのだろうと思われる。


昨日見かけた、何かに扮して静止している大道芸人のバリエーションを見かける。
インディアン、兵士、闘牛士など。


気がついたら18時近くとなっている。マヨール広場へ。
昨日見かけたレストランの1つに入って、パエリヤを注文する。
ビールを2杯飲む。
夕暮れで日が傾きかけていて、食べている間に、石畳に伸びる影がどんどん長くなっていく。
パエリヤは観光客向けのレストランの観光客向けの味。
パサパサしていて、エビも小さい。
まあこんなもんか。11ユーロぐらいした。
ビールと合わせて、18.10ユーロとなる。チップを含めて20ユーロ置いていく。


マヨール通りを引き返して、
「Sol」駅から、ホテルの最寄駅の1つ手前「Plaza de Espana」で下りる。
三越があるというので入ってみる。
1階と地下があるだけの小さな店。客の姿はなく、店員は暇そうにしていた。1人だけ日本の方がいた。
地下にお土産のコーナーがあって、オリーブオイルの詰め合わせを2つ買う。
館内放送のテープがしきりに、ホームデリバリーサービスというのがあると繰り返す。
ここで伝票に書くと早くて3日後に届くという。送料は620円だったか。
店員に聞いてみたら、これってお土産コーナーの全品が対象となるのではなくて、ごく一部のみ。
ワインだとか。
つまり、即に日本に在庫があってそれを配送するだけ。なーんだ。
なので僕が買ったオリーブオイルは対象外。残念。
三越JCBのロゴがプリントされた厚手のビニールのバッグが置いてあって、とても気になった。
あれはタダだったのではないか。
その後手荷物を持ち運ぶための大きなバッグを入手できなくて苦労した。
もらっとけばよかった。


ホテルに戻ってきて、19時半。
キャパの写真集とソフィア王妃芸術センターのガイドブックを眺めているうちに眠くなる。
21時頃ベッドに横になる。外はまだ若干、明るい。
横になったら起き上がれなくなり、22時に目が覚め、
何とか起き上がってシャワーを浴びて寝てしまう。
本当はホテルの近くのいい感じのバルで
ビールを飲みながらヘミングウェイを読むつもりでいた。残念。
歩き疲れたのか、時差ぼけなのか。