あの日を歩く

一昨日の続き。
結局のところ、2011/3/11の帰りに歩いたルートをまた辿ってみたくなった。
昨日夜、会社を定時に出るといつも通り皇居に向かって歩いていく。
竹橋でいつもなら左へ、丸紅や気象庁のビルのある方、
つまり大手町・丸の内へと折れるのであるが
この日は右へ。毎日新聞や西洋美術館のある方へ。
夕暮れも終わって日が暮れて、皇居のお濠に沿って歩いていく。
風が強い一日だった。まだその名残が残っていた。


あの日、この辺りはまだ人通りが少なかった。
携帯をかけてもつながらず、歩きながら困り果てている人が多かった。
今は市民ランナーたちが黙々と通り過ぎていく。
ここはもはや素人が走る道ではないので皆、速い。
彼らは、彼女たちは、何を考えながら走るのだろう。
日々何を見つめながら走るのだろう。


半蔵門に出て新宿通りへ。
いくつか見覚えのないチェーン店の看板が。入れ替りが早い。
震災にはたぶん、何の関係もない。
四ツ谷に近づいて人通りが増える。
四ッ谷駅の交差点に差し掛かる。
立ち止まって膨れ上がる群れの中に
得体の知れない苛立ちや疲労が渦巻いているように感じたんだったか。
Twitterなのか何なのか。スマホや携帯を操作している人が多かった。


四ツ谷の先、新宿御苑の途中の岐路でどっちを選ぶか。
右と左、どちらも行き先は分かっている。
それがなぜか僕自身の人生の岐路のように思えた。
どちらの群れについていくか、というか。


昨日は四ツ谷の先まで歩いて、そこまでにした。45分ぐらい。
あの日はもっとかかったか。
それが短いと感じたか、それとも長いと感じたか。覚えていない。
というか、時間の感覚なんてものがなかった。
日が暮れたとか、夜になったとか、ただそれだけ。


遠くに見える新宿のネオンサイン。
僕は地下鉄の駅の中へと下りていった。