一橋流幹事術:飲み会編

先日facebookにて、これまで10数年働いてきて身についたノウハウを
どこかにまとめておきたい、若手に伝えたい、
と書いたところ結構反響があった。
そんなわけでこちらに残しておく。


と言ってもIT業界でシステムエンジニアとしてどうこうっていうものではなく、
飲み会の予約とバーベキューの仕切りとグループ旅行の企画ぐらい。
題して「一橋流幹事術」
もちろん「ハーバード流」ほにゃららに対抗してだけど、
特にこういう講義があるわけではないし
代々サークルで受け継がれているというものではない。
ただ、なんとなく。


ということで飲み会編。
仲のよいいつもの4人で行きたいところも決まっている、ではなくて
部門やプロジェクトなどの大人数が母体の集団で
歓送迎会や忘・新年会などを開くときにどう人数を見積もるか。


こんなのノウハウなんてなくて書くまでもないことなんだけど、
なぜか社会経験の少ない新人はうまくできないんですね。
部会で告知したので部員全員が来るもんだと予約したらその半分も来ないとか。
最初にメールで出欠のアンケートを取ってそれっきり、当日人数が減ったとか。
そういうときに限って人数確定の期限が早くて減らせない店だったり。


僕も今から10数年前、部門の新人として一番最初の幹事で忘年会をやったときは
メールで出欠を尋ねて30人近くが来ると答えていたのに、
蓋を開けたら5・6人でスタート。終わりの頃にようやく15人いたかどうか。
手付かずの鍋を店員が片づけらるのを寂しく見ていたもんです。


そんなわけでいくつか。


・初動は素早く。仕事のできない若者ほど、だらだらほっとく。
 忘年会の2週間前にようやく重い腰を上げて、
「先輩、いい店どこも予約できませんでした。■民でもいいですか?」
 なんてことになる。
 忘年会なら期が変わって10月に入ったら予約。それぐらいでもいいんですね。
 もしかしたら超人気店はそれでも取れないかもしれません。
 送別会なんかも話が出たらその日のうちに予約。
 先手先手で早めに押さえた方が店も予約しやすいし、
 参加する人のスケジュールも調整しやすい。


・店選びは当然、送別会ならばその人の好みのジャンルを。
 普段から昼メシなどの場でその人が和食派なのかエスニックなのか、
 座敷でくつろぎたいのかおしゃれ系がいいのか、把握しておいて
「○○さん、タイ料理好きでしょ? ××を押さえましたよ」
 なんてできるといいですね。


 送別会も歓迎会も席が狭くて移動しにくい店はやめたほうがいいでしょうね。
 固定されてしまうとせっかくの機会に話しにくいし。忘・新年会も同様。
 席が固定でいいのは、どこそこのアンコウ鍋がうまいので食べに行く
 といった食が目的の集まりのときだけ。


 もちろん、知ってる店のレパートリーから選んだ方がいいです。
 そのためには普段からあちこち開拓しておくのが望ましいですが、
 毎晩飲んでばかりでもいられないもの。
 そんなときはランチで訪問してみましょう。
 外観、内装、接客、メニューなど多くのことが分かります。
 いい店だと聞くけど夜しか開いてない店ならば
 せめて近くまで行って外観を見てみるべきですね。
 きちんとした店は佇まいにも気を使っています。


 食べログぐるなびで調べて予約でもいいですが、
 最後の最後は足で稼いだ店の方が信頼できるものです。
 他人の評価や店側のセールストークはあくまで参考程度です。
 食べログも昔は3.2を超えるとなかなかいい店でしたが、
 今は新しい店だと普通にそれぐらい超えてしまいます。
 3.5以下の点数が当てにならなくなってきました。
 ぐるなびも背景が黒の店はいいという法則を昔先輩に教えられたものですが
 今はどうなのでしょう。


 若者向けの安居酒屋は学生たちが騒いでいるので論外です。
 男子トイレの個室はゲロまみれかもしれません。
 自分の懐具合が寂しいので安い店にしたくなることも時としてありますが、
 ここは幹事の矜持をきちんともち、
 サイフがピンチの月は普段から節約しておきましょう。
 あるいは、安くてうまい店のレパートリーを増やしておく。


・大人数だと個室や貸切がベター。
 職場の近くにはたくさん店があると思いますが、
 15人、30人、45人など状況に応じたサイズで予約可の店のリストを
 作っておくといいですね。


 もうひとつ整理しておくと便利な項目は人数変更の期限です。
 前日までが標準的ですが、
 当日の昼まで、あるいは直前まで可という店もあります。
 人気のある焼肉や鍋の専門店だと皆が同じものを頼むから
 仕入れの関係で…、ってことがないんですね。
 逆に期限が2日前以上という店は
 鹿肉・熊肉などよほどこだわりのある店でない限り、
 システムとコストありきで客は二の次なのでたいがいハズレです。


 うるささとか店員の忙しさ、男女別のトイレの数、
 コートをかけるフックの有無やコートの預かりの有無など、
 リストに並べるべき項目は他にもいくつかあります。
 結構大事なのが雑居ビルの上の階だったときのエレベーターの本数ですね。
 10階建ての雑居ビルの7・8階でどの階も飲食店、
 エレベーターが小さいの一個のみだったりすると
 40人の団体で予約した場合は5往復してその間30分はかかります。
 10階から団体が下りて来て帰りに乗れない、なんてこともよくあります。
 そもそもそういう店は避けた方がいいですね。


・日にちの調整は「調整さん」のようなサイトを使うとスマートですね。
 各参加者が日にちごとに○△×を入れられるような。


 このとき○の人、メールならば出席と返答した人の数で
 そのまま予約を取ると後に減らすことになります。
 どれぐらいの確度で出席可能か重み付けをしておくといいです。
 メールで聞くときにはその辺りの状況を記入してもらってもいいでしょう。


 重み付けの例として、
 *何があろうと確実に来れる人 x1.0
 *来たがっているけど、仕事が超多忙な人 x0.8
 *結構な割合でドタキャンの人 x0.5


 もちろんこの係数は状況に応じて都度変わります。
 全員が期限直前のプロジェクトにいるなど、
 状況や動向は常に把握しておきましょう。
 場合によっては日にちを見直すほうがよいかもしれません。


 開催日が近付いたら必ずリマインドのメールを。
 前日よりもせめて2・3日前に。
 金曜夜の飲み会であったなら月曜の朝がいいですね。
 その週のスケジュールを確認するだろうから。
 メールには人数変更の期限を添えて。
 それでもやはりドタキャンは出てくるものです。


・芸やゲームの類はここでは触れません。
 個人的にそういうのを途中に挟むのが好きではありません。
 集まっている人たちはもっと多く人と話がしたいはずなのに、
 それを遮るようなことは無粋です。
 芸やゲームを挟まないと盛り上がらない、場が持たないような飲み会ならば
 そもそも開催しない方がいいです。
(誰も望んでないのに、先輩にやらされたからという理由で
 新人が一人一芸披露なんてのもやめたほうがいいですね)


 送別会でのサプライズのプレゼントはありです。
 そういう「演出」はむしろ必要です。
 一番喜ばれるプレゼントは寄せ書きでしょうか。
 遠方に引越し・異動したかつてのメンバーにも色紙を送って書いてもらう、
 といった工夫ができるとよいです。
 お金よりも手間のかかった贈り物こそ喜ばれます。


 手品ができるとか、モノマネが得意とか
 この人のこの芸がないと盛り上がらない、みんなが待っているというのがあれば
 もちろんやりましょう。
 その場合、どのタイミングでやってもらうことになるのか
 というのは場の流れを考えて事前にダンドリを話し合っておきましょう。
 飲む前にやりたい人もいるだろうし、
 締めの前に持ってくるのがふさわしいものもあります。

 
 芸やゲームがなくとも、最初の乾杯と締めの挨拶は欠かさずに。
 事前に偉い人、話が面白い人に頼んでおくべきです。
 話は手短に。長くなる人には頼まないこと。


・コースかアラカルトかは永遠の問題。
 なんにせよ飲み放題は付けた方が無難ですね。
 よほど飲まない人たちの集まりではない限り。


 食べ物のおいしい店はコースにした方がお得なことがあります。
 そこにいくつかアラカルトで1・2品付け加えるといいですね。
 アラカルトがOKなのは10人ぐらいまでの小規模の飲み会でしょう。
 それ以上ならばコースにする方が店の応対もスムーズです。


・2次会は事前に押さえるならば近くの店を。歩いてすぐ。


 人数が読めなくてその場で、というときは
 幹事がそれとなく聞いて回ったり、
 締めの挨拶の前に手を上げてもらったりするのもありですね。
 1次会の間に次の店を探しにそっと外に出る、
 ないしは知ってる店に電話をかけるとベター。
 みんなで店を出て外で30分近く待たせたり、
 店が決まるまで一緒にウロウロ歩かせるのは幹事として二流です。


 1次会でしっかり食べるなら、2次会は飲み物だけで。
 さらにコース料理をつけることのないよう。
 道端に立っている店員をつかまえて店を押さえるときには
 きちんと要望を伝えましょう。必ず一人一皿なども条件も必ず聞く。
 食べ物がどれだけ必要かは1次会で残っている料理の量で判断してください。


・皆で記念撮影した、あるいはスナップ写真を撮ったというときは
 30daysなどのサービスを使って共有は早めに。余韻のあるうちに。
 メールで展開するときは出席者への感謝の気持ちを軽く添えて。


・精算はその場で、あるいは後日どちらもありえますが、
 役職に応じて出してもらうならばその調整や心積もりは事前に連絡を。
 お金が足りなくなったので相談する、というのはかっこ悪いことです。
 予算感がいくらになるのかというのは
 最初の出席調整メールでもはっきり伝えましょう。


 会費制で先に集めるのもありですが、というか幹事としては楽ですが、
 どことなくなんとなくアマチュアな感じがあります。
 往々にしてドタキャン癖がついている人は
 お金払ってるんだからいいでしょとさらにドタキャンへと倒れやすくなります。
 また、コースで頼んでいるというのに勝手に知らないところで
 バンバンアラカルトで頼む人というのもたまにいたりします。
 そこで腹を立てるか、受け容れるか。
 そのよしあしを考えて先払いか後払いか、どちらにするか決めましょう。


今、ざっと思いつく限りでこんな感じです。
ではまた。