ポスト・クラシカル補講その1

来週6/24(木)のイベントについて。
例によって facebook に補足を書いています。


イベントについてはこちらを。
http://onshitsu.com/2016/06/13-185331.php

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次回は「ポストクラシカル」をテーマにするとはしたものの、
何が難しいかって定義が全く定まっていないところ。
つまり、この人はポストクラシカルど真ん中だという核になる人は明確でも、
周辺がじゃあどこまでなのかがはっきりせず、引いたもんがち。
(まあそれを言うと全ジャンルそうですが)


そんなボーダーラインをいくつか挙げてみたいのですが、まずはマイケル・ナイマン
一昔か二昔前の「現代音楽」のアイコンですが、
「現代音楽」もまた定義がはっきりしないし、ポストクラシカルとどう違う?
若手でエレクトロニカの影響を受けた世代がポストクラシカルで、
もう少し上の楽器がやはりピアノやチェロといった辺りから抜け出せないのが現代音楽?
そう言ったら怒られるよなあ。


現代音楽もポストクラシカルも映画音楽との親和性がとても高く、
マイケル・ナイマンは初期ピーター・グリーナウェイ監督作品で
映画ファンの間で名が知られるようになりましたが、
一躍有名になったのは『ピアノ・レッスン
あの印象的なフレーズは聞き覚えある方が多いでしょう。


The Piano Beach Scene - The Heart Asks Pleasure First
https://www.youtube.com/watch?v=rfpHj1lC5Yk


僕がマイケル・ナイマンの名前を知ったのは楠本まき『KISSxxxx』でした。
作者によるミックステープの紹介の中に
bauhaus なんかと一緒に「エンゼルフィッシュの腐敗」が入っていたんですね。
ピーター・グリーナウェイ『Zoo』に使われていました。
端正な『ピアノ・レッスン』は外仕事であって、
この「エンゼルフィッシュの腐敗」のせわしない音の方がマイケル・ナイマンらしいと思う。


Michael Nyman - Angelfish Decay
https://www.youtube.com/watch?v=U21lhxlvYF4

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「ポストクラシカル」という言葉を直訳的に受け止めるなら、
例えば坂本龍一はまさに「クラシック以後」の音楽がどうあるべきかを常に問いかけ、
実践してきた「音楽家」であって。
本来ならはずせないのですが、でもやっぱ浮いちゃうんですよね。よくも悪くも。
大御所過ぎて下手に話題にできないというか。最近特にそう。
フルオーケストラによる『戦メリ』のサントラの後に
自らピアノで弾いた『CODA』が出る辺りの意味、とても大事です。
でもやっぱいわゆる「大ネタ」すぎますね。僕は今も涙腺が緩むんですけど。


Coda: 1 - Merry Christmas Mr. Lawrence
https://www.youtube.com/watch?v=K4FBE1aUoCs


その「Merry Christmas Mr. Lawrence」をカバーした
(というか元のトラックに歌を乗せた)
デヴィッド・シルヴィアンの「Forbidden Colours」
JAPAN人脈ということで教授自身も深く関わっています。
ある意味、オリジナルよりもいい。
JAPANはもっと評価されるべきだけど絶対そうならないのは、
閉じられた空間の濃さというよりも儚さゆえか。


Sylvian & Sakamoto - Forbidden Colours
https://www.youtube.com/watch?v=x1YkHJJi-tc