新しい人類

昨晩、BSをつけたらストーンヘンジに関する番組だったので見てみた。
橋本環奈がナビゲーターで、荒俣宏などがゲストという。
かなり研究が進んできて、
どのようにつくられたのか、なぜつくられたのか、だいぶわかってきたのだという。
例えば、柱の真ん中を太くすることで
遠くから見た時に柱が細く頼りなく見えるのを防いだエンタシスという形式。
これはパルテノン神殿にも見られるし、法隆寺にも見られる。
そしてストーンヘンジも。
これはどこからどこに大陸を横断して伝わったというものではなく、
(時系列で言えば、ストーンヘンジパルテノン神殿法隆寺となる)
建築物を美しく立派に見せたいと技術を磨いていくうちに自然と到達するのだろうと。
 
他にも興味深い話がいくつかあった中で、ひとつ考えさせるものがあった。
ストーンヘンジは紀元前2500年~2000年にかけて古代ブリトン人によってつくられた。
彼らは格差のない社会で生活し、ストーンヘンジをつくるために各地から集まった人たちも
皆同じ大きさで同じ間取りの家をつくって住んだというぐらい平等だった。
手にしたのは石。探せばあちこちで採掘できて平等に手に入れることができた。
しかし、ストーンヘンジが完成した後、ブリトン人たちは海を渡ってきたビーカー人によって駆逐された。
ブリトン人はビーカー人がもたらしたウィルスによって絶滅したのだという。遺跡も破壊された。
ビーカー人がもたらしたものはもうひとつあって、それは鉄。
鉄をつくる技術は基本的に一握りだけの秘密であって、それが権力、格差を生んだ。
そのビーカー人も後にケルト人に取って代わられた。
荒俣宏は言う。日本もかつてはそうだったのだと。
縄文人は大陸から来た弥生人に…、という。
 
今の人類が新しい人類に取って代わられるというテーマのSFが昔からあった。
有名なところでは、H・G・ウェルズの『タイムマシン』や
楳図かずおの『漂流教室』に出てくる未来人は体の構造からして全然違うグロテスクな存在だった。
一方で、半村良『岬一郎の抵抗』のように見た目は変わらないのに超能力を身につけた、
少数の新しい人類が追い詰められていく、というものもある。
SFとういうよりも純文学という扱いだが、
遺伝子工学の発展した世界を描いたミシェル・ウェルベック素粒子』のようなケースもある。
昨日書きかけたけど、AIが人類を絶滅に追いやると考える人もいる。
 
現代社会が今のまま続く限り、人類はこのまま進化も退化もしないのだと思う。
自然という外界をコントロールできなかった頃は人類の方が変化せざるを得なかった。
気候や住環境をコントロールできるようになった人類はもはや身体を変化させる必要がない。
今あるとしたら、インターネットいう新しい環境が生まれて、
そこに適合するために人類から AI というものがが枝分かれするのだろう。
進化するのは生物学的な身体とは限らない。
あるいは宇宙空間で暮らすようになって何十世代と経過するとか。
 
ほんとね、1,000年後とか10,000年後とか人類はいったいどうなっているのか。
タイムマシンを開発した未来人が我々に紛れて暮らしているなんてことはあるのか。