踏んだり蹴ったり

昨晩妻から聞いた話。
妻はここ最近のコロナウィルスのこともあって
満員電車を避けるために時々車で通勤していた。
昨日、いつもとは違う道を行こうと住宅街を走っていたら
道の真ん中に本が何冊も散らばっていて、
その脇には転がった自転車と老人。
迂回することもできず、路肩に停めて助ける。
 
どうしてそういう状況になったのかよくわからないが、
老人の履いていた左足のスニーカーの紐がペダルにグルグルと巻き付いていて
自転車から離れられず身動き取れずにいた。
散らばっていた本は前のカゴにそのまま入れていたのだろう。
まずはこれらの本を脇の茂みに移す。
自転車を起こそうとするが、
後ろの台には段ボール箱を紐できつく括りつけていてやたら重い。
恐らくこちらにも本がびっしり詰め込まれている。
やっとのことで自転車と老人が走り出せる状態までもっていった。
 
というのをやっていると後ろから来た車が次々と通り過ぎていく。
ここでハッと妻は気付く。
困っている人を見かけたので助けようとする人がいないどころか、
むしろ私の車がこの老人とぶつかったから私が対処していると思われてんだ。
愕然としたという。
妻だって通勤途中、そんなに暇ではない。
なのに、なのに。
 
「そこまでしてこのおじいさんがコロナウィルスに感染していたら踏んだり蹴ったりだね」
 
そもそもこのおじいさんはどこからどこに行くところだったのか。
これだけの本を積み込んで。ブックオフに売るのか。
 
「実はどこからか盗んだものを運ぶ途中だったら……
 窃盗の幇助罪で巻き添えで捕まってしまう??
 それこそ踏んだり蹴ったり」
 
何にしてもお年寄りはスニーカーを履かず、
マジックテープで留めるタイプにしたほうがいいです。
自転車に乗るときは特に。