先週買ったCD #73:2022/02/28-2022/03/06

2022/02/28: www.hmv.co.jp
Orquesta De La Luz 「」 \396
Mariah Carey 「The Ones」 \99
Mariah Carey 「Emotions」 \198
Mariah Carey 「Music Box」 \297
Mariah Carey 「Merry Christmas」 \297
Haris Alexiou 「永遠の想い」 \297
 
2022/03/01: diskunion.net
高柳昌行カダフィーのテーマ」 \1700
Haris Alexiou 「祈りをこめて」 \380
 
2022/03/01: www.amazon.co.jp
UB40 「CCCP Live In Moscow」 \611
Here We Go Magic 「A Different Ship」 \120
 
2022/03/04: diskunion.net
Sheena & The Rokkets 「#1」 \5772
 
2022/03/04: www.hmv.co.jp
Mariah Carey 「The Ones」 \99
Mariah Carey 「Mariah」 \198
Mariah Carey 「Daydream」 \198
Mariah Carey 「Daydream」 \297
 
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UB40 「CCCP Live In Moscow」
 
年に何度かレゲエが聞きたくなって、その度に少しずつ過去の名盤を買い集めてきた。
スカやダブも含めて、結構な数になった。
ジャマイカ、日本、イギリス。大きく分けてこの3か国、3エリア。
ルーツ、アジア、西欧。
ジャマイカボブ・マーリーがやはり別格。もはやレジェンドというか神話の域。
全然及ばないにしても、グループだとピューマ・ジョーンズ在籍時代の Black Uhuru とか。
スライ&ロビー関連もよく聞いた、というかたいがい彼らがベースとドラムで関わっていた。
ジャッキー・ミットゥに Toots & The Maytals と挙げていくときりがない。
イギリスの80年代ニューウェーヴに近いダブ系白人プロデューサー、
エイドリアン・シャーウッドによる ON-U Sound レーベルの諸作も
クールな過激さがあっていい。
Matumbi のデニス・ボーヴェルが The Pop Group をプロデュースしたという流れも見逃せない。
日本だとやっぱ Mute Beat だよなあ。
Dry & Heavyに、……いや、fishmans を忘れたらいけない。 
とか考えていると、ポッカリとエアポケットのような存在として居心地が悪くなるのが、
UB40 の存在。
 
嫌いではなく、むしろ大好き。
ボブ・マーリーの次に僕が最も聞いたのは UB40 だと思う。
BS-TBS の『おんな酒場放浪記』で今も ”Red Red Wine” が流れてるし。
相当刷り込まれている。
 
1978年にイギリスのバーミンガムで結成。長らく不動のメンバーで活動。
前述の ”Red Red Wine” が1983年のシングル発表後のなぜか5年後に
アメリカのラジオで火がついてNo.1に上り詰める。(イギリスでは83年にNo.1)
この曲の収録されたレゲエ名曲カバー集「Labour of Love」もベストセラーに。
その後、シャロン・ストーン主演の1993年の映画『硝子の塔』でも使われた
エルビス・プレスリーのカバー”Can't Help Falling In Love”(好きにならずにいられない)
も全米・全英No.1となった。
そんな売れ線のポップ・バンドだからだろうか?
いや、そこではない。
彼らの曲は売れる曲かつ、いい曲だ。
彼らなりのヒットの方程式というか黄金律を見つけた、秀逸なバンドだ。
 
何と言うか、何にも似てないんですよね。
レゲエという確固たるジャンルの中にはあっても。はぐれてしまってる。
暗すぎず、明るすぎず。クールすぎず、アツすぎず。
カラッとしすぎず、湿りすぎず。
見事に中庸なんだけど、中身がないわけではない。
その名前がイギリスの失業者向けの給付金申請書の書式番号であり、
1980年の1作目「Signing Off」というタイトルはそれに署名する、
という意味であるのは有名な話。
(レーベル運営に失敗して2011年には主要メンバーが破産宣告を受けてしまったが……)
その音作りは一貫していて揺るがない。
Aswad のように1970年代後半は暗くて攻撃的だったのが、1990年代はネアカな売れ線バンドへ、
というような劇的な転換もない。
 
多作なようでいてオリジナルアルバムは案外少なく、
ダブのアルバム、カバーのアルバム、ジャマイカのDJを招いたアルバムと
変化球と自らの新陳代謝を繰り返したからこそ
その暖簾を守っていくことができたのだろう。
 
今回買ったのは、1987年に発表された彼らの2枚目のライヴアルバム。
1枚目、1982年の「Live」は徹底したクールさの底にホットな人間性があるという感じで
誰それのレゲエではなく、ただ単にレゲエを、というときによく聞いた。
フランケンシュタインがコミカルに描かれたジャケットもよかった。
 
この「CCCP Live In Moscow」はその名の通り、旧ソ連でのライヴを収録したもの。
帯には『86年、旧ソ連で行われた初めての西洋バンドのコンサート』とある。
そこが気になった。
もっと早くに演奏したバンドがありそうだけど、彼らだったのか。
解説を読むと1986年11月。
Shakespear's Sister のシングル ”You're History” のB面の2曲が
(Live In Leningad)と書かれていたけど、今調べたら1989年だった。
ビリー・ジョエルにも旧ソ連でのライヴアルバムがあったなあと見てみたら
1987年だった。でも、アメリカ人としては初めてだったようだ。
UB40のレゲエだった、というのはなんだか意外だな。
 
巷では『ソ連ファンク』という旧ソ連時代のレアグルーヴのガイド本が話題ですが……
1994年、ソ連崩壊後に僕はモスクワ、レニングラードを訪れた。
ロシアン・ポップスは単調で、正直、耳に残るものはなかった。
でも、モスクワ市中心部にある『ドム・クニーガ』(本の家)という
大きな本屋を訪れると、その中にブース形式で小さなCDショップがあった。
表向きロシアン・ポップスやロシア民謡
ロシア人演奏家によるクラシックの演奏のCDが並んでいた。
ブースの中では若い男性が働いていた。
よく見るとブースの内側の壁に
My Bloody ValentineLoveless」(1991年)のポスターが貼ってあった。
そうか、彼らも聞きたかったんだなと思った。
急速に西欧の音楽が流れている時期だったんじゃないかな。
 
「CCCP Live In Moscow」には特に
旧ソ連で演奏しているが故の独特な雰囲気というものはない。
臆せずいつも通りの演奏を行ったのだろう。
どことなく緊張感があるぐらいか。
ハラショー! といった掛け声の上がることもない。
しかし、初めて見る西欧のバンド、しかも彼らにとってはほぼ初めてのジャンルであるレゲエ、
そういった状況を思い浮かべながら聞くと面白い音になる。
どういう経緯でモスクワで演奏することになったのかは不明と解説にあった。
彼らの中庸、普遍性ゆえに旧ソ連へと引き寄せられたんじゃないかと思う。
そんな浮遊感のある地場、それが UB40 のレゲエ。