たかしさんのこと

水曜、出張の帰りに缶チューハイを飲みながら iPhnoe でメールを読んで
編集学校からのメールが目に留まった。
なんだろう、と見てみると
これまで何回か飲んだことのある方が急に亡くなられたとあった。
驚いた。まだそんな年でもないのに。
 
3年前に池袋で飲んだのが最後か。
昼に集まってシュラスコの店で食べて、話が尽きずに店を変え、夜まで延々飲み続けた。
楽しいひと時だった。
僕が子供のころ好きだった本を出している出版社に勤められていて、その話を聞いた。
ひょうひょうとして穏やかだけど、懐が深く、視点が鋭い。
大人の憧れるような、素晴らしい方だった。
コロナ禍が落ち着いたらまたどこかで飲めたら、と思っているうちに
その機会は永遠に失われてしまった。
 
今日の11時からお別れの会だというので行ってきた。
二子玉川、高津の先の斎場だった。
環八が混んでいて全然先に進まず、間に合わなかった。
既に始まっていて、焼香の列に並んだ。
急なことだったから小さなサイズの個人のスナップ写真が額に入って飾られていた。
いつものように穏やかに笑っていた。
取り囲む家族。子供たちはまだ小さい。
 
焼香を終えて、棺の中に一人ずつ花を置いていく。
本が一冊、今読んでいるかのように広げられていた。
改めて個人の顔を見つめる。
人はこんなあっけなく死んでしまうものなのか。
善人は早死にするとはよく言ったものだ。
余りにも早すぎる死だった。
 
棺が斎場から外へ。火葬場へと運ばれていった。
何人か編集学校の方と話した。
久しぶりにお会いしたけど、マスクをしていたのでわからない方が多かった。
僕が学校から離れた後の人たちもいただろう。
 
先週の土曜、伝習座という師範代向けの講習会があって
その場で倒れ、救急車に運ばれたのだという。
長らく体調が悪かった、入院していたのではなく、何の前触れもなく突然の出来事だった。
ある方は言う、皆のいる場所でまだよかった、救急車をすぐ呼ぶことができた、
帰りの電車の中で倒れたのだったら大変なことになっていた。
また別な方は言う。周りに迷惑をかけたくないと思ったのだろう、
そっと席を離れて一人、外に出たのだと。
 
かつてとてもお世話になった方を乗せて3人で帰る。
その方の聞いた話。
「娘と息子の間はちょうど6歳離れている。
 僕は12年連続で小学校の運動会に行かないといけないんだなあ」
それができたのは10年まで。
残り2年を残して旅立ってしまった。
 
53歳の若さ。
これからやりたいこともたくさんあっただろうに。
ご冥福をお祈りします。